薄毛かな?と思ったら──治療の前にまず考えてほしいこと

美容

週末美容外科医です。何年かAGAを専門に治療するクリニックで診療に携わっていました。
シリーズでAGA治療、薄毛治療に関して記事をいくつか投稿していきたいと思います。

・最近、髪が細くなってきたと不安に思っている方
・薄くなってきたことを気にしている方

立ち止まって目を通してもらえると幸いです。

その第一弾は、「薄毛かな?と思ったら──治療の前にまず考えてほしいこと」です。

自分は多くの人を診療する中で、「もっと根本的なところから見直した方がいいんじゃないの?」と思う方にたくさん会ってきました。薄毛、AGAは見た目の問題だけ、と捉えがちですが、もう少し俯瞰した考えでご自身のカラダと向き合ってみてはどうでしょうか??

AGAとはAndrogenetic Alopecia(アンドロゲネティック・アロペシア)のことです。男性ホルモンや遺伝によって引き起こされる薄毛、脱毛症のことを指します。

はじめに

髪のボリュームが気になり始めたとき、多くの人がまず検索するのは「どのクリニックがいいか?」「どんな薬が効くのか?」といった治療に関する情報かもしれません。もちろん、それらはとても大事な選択肢です。

でも実は、もっと大事な“最初のステップ”があります。

それは、

    薄毛をきっかけに、まず「自分の生活全体」を見直してみること。

AGAは見た目の悩みであると同時に、健康状態のバロメーターでもあります。髪の変化は、体の内側で起きている変化を映し出す“鏡”であり、生活習慣の乱れホルモンバランスの崩れ慢性的なストレスなどが影響を及ぼしていることも少なくありません。

生活習慣を見直して欲しいという体の声であることにも気づいてください。

AGAは髪だけの問題じゃない

AGA(男性型脱毛症)は、主に遺伝的要因ホルモン(特にDHT)の感受性によって引き起こされるとされています。しかし、近年の研究では、肥満・インスリン抵抗性・脂質異常・高血圧といった生活習慣病との関連性も明らかになってきました。

たとえば、JAMA Dermatology誌に掲載されたコホート研究(Lotufo et al., 2000)では、頭頂部脱毛と冠動脈疾患リスクに有意な関連が認められました。

また、早期発症型AGA患者ではインスリン抵抗性の有病率が高く、代謝シンドロームのリスクが上昇することが複数の論文で示されています(Acibucu et al., 2010; Matilainen et al., 2000)。

さらに、PubMedに掲載された近年の研究(Lee et al., 2022)では、睡眠時間が6時間以下の被験者はAGAの重症化リスクが2倍以上高く(OR = 2.16)、睡眠の質の低下とも強く関連していると報告されています。

また、有酸素運動を週2回以上、1回60分以上行っていた被験者では、AGAの改善率が5倍以上高かったという研究もあります(Chen et al., 2021)。

つまり、

    薄毛は“見た目の問題”であると同時に、“体内の変化のサイン”でもあるのです。

髪の毛は、栄養や血流が行き届かないとすぐに影響を受ける繊細な存在です。そのため、血管や代謝に問題があると、真っ先に髪の毛にサインとして表れることもあります。

生活習慣病との接点──AGAは健康を見直すチャンス

生活習慣病は、将来の心臓病・脳卒中・腎疾患などの重大な疾患のリスク因子であり、「健康寿命」を左右する重要な概念です。そしてAGAは、その生活習慣病リスクの“目に見える予兆”となる可能性があります。

特に以下のような人は要注意:

  • 30代で急に薄毛が進行してきた
  • お腹まわりが気になる/体重が増えてきた
  • 健診で血圧や血糖、中性脂肪が高めと指摘された
  • 家族に生活習慣病の既往がある
  • 忙しさで睡眠・食事・運動のバランスが乱れている

今の時代、多くの30代以上の方々はこれらのどれかに当てはまるのではないでしょうか?

これらは、AGAの進行に影響するだけでなく、将来的な健康リスクにも直結します。つまり、薄毛は“きっかけ”にすぎません。その背景にある身体のサインに気づき、生活全体を見直すことこそが、本当に価値ある対策なのです。

最初にすべきことは「生活のセルフチェック」

薬やクリニックに頼る前に、まず自分の生活を見直してみましょう

以下の項目をチェックしてみてください。

  • 睡眠時間は足りているか?(できれば毎晩7時間以上)
  • 就寝・起床時間は安定しているか?
  • 食事は偏っていないか?(高脂質・高糖質になっていないか)
  • コンビニ食・外食が続いていないか?
  • 運動習慣はあるか?(週2回以上、1回60分程度の有酸素運動が目安)
  • デスクワーク中心で血流が悪くなっていないか?
  • 喫煙・飲酒習慣は?(週何回か、量は適量か)
  • ストレスや疲労の蓄積は?(自覚症状は?発散できているか?)

これらの要素はすべて、髪の健康だけでなく、心身の健康全体に影響します。AGA治療の第一歩は、こうした生活の基盤を整えることから始まるのです。

それをおろそかにした上で薬物治療などの高額な治療だけに頼るのはお金も勿体無いでしす、本来の「カラダのサイン」を無視していることにはならないでしょうか??

髪の悩みを、未来の健康への「入口」に

自分も30歳前後で、髪の毛が少し細くなってきたことを気にしていました。忙しいなどの言い訳はたくさんできますし、生活習慣を見直すより先に軽い気持ちで「薬物治療」をしてみました。気にしすぎていただけのせいもあってか、大きな改善はありませんでしたが、内服しているということで「予防」できているという安心感がありました。しかし、ある時、「お金がもったいない」のと「この先ずっと内服するわけにもいかない」という気持ち、また「生活習慣から見直す」ことにシフトするようになりました。

その後は40歳にはなりますが、毛量は同年代の集団で偏差値55くらいはありそうです。

👆これくらい「イケオジ」だったらハゲでも問題ないですけど、日本人は自分も含めて顔的になんかそうも言ってらんない人の方が多いかなと思います。

ただし、薄毛は恥ずかしいことでも、あきらめるべきことでもありません。
でも、その裏に隠れた“体からのサイン”を見逃さずに、
生活を少し見直してみる──

それは、薬以上に価値のある「根本的な治療」になるかもしれません。

そして何より、薄毛をきっかけに生活を整えることは、将来的な心臓病や糖尿病、脳卒中といった重大な疾患の予防にもつながります。

    髪の未来を守ることは、あなた自身の人生と健康を守ること。

小さな変化に気づいた“今”こそ、人生の質を上げるチャンスです。将来の健康と髪のために、大金をかけずに、食事を意識するなど、美味しくできることから始めてみませんか?

できることやってから薬物療法などに頼ることをお勧めします。本当に、できない言い訳はいくらでもできてしまうのが、人間の心の弱さですよね。。。

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