【第6弾】【最終手段???】HARG療法の効果は?メソセラピーと比較【医師解説・エビデンスと費用まで】

美容という究極

週末美容外科医です。

これまで「できるだけお金のかからない方法」を中心に【第1弾】から【第4弾】の記事を展開してきました(リンクは下にあります)。

そして【第5弾】では「フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル」といった代表的な薬物療法に関しての完全版を紹介しました。

しかし、中には「フィナステリドだけでは十分にはよくならなかった」「ミノキシジルやデュタステリドをやめたらリバウンドでもとに戻ってしまった」というような意見もあります。

そこで、薬物療法以外にもクリニックが独自でおすすめする「オリジナルの治療」には効果があるのだろうか??という疑問が絶えないと思います。

そこで今回はクリニック独自で展開している治療、よく聞くワード「HARG療法とメソセラピー」「HARG療法の効果」に関して記事にしたいと思います。


第1弾から第4弾までの記事はこちら⬇️
【薄毛治療】【第1弾】薄毛治療前に必ず見直すべき生活習慣|医師が解説する本当の第一歩
【薄毛治療】【第2弾】AGAの原因はホルモンと遺伝|医師がわかりやすく解説
【薄毛治療】【第3弾】やってはいけない!薄毛を加速させる5つの生活習慣|医師が警告するNG行動
【薄毛ケア】【薄毛治療】【第4弾】自宅でできる薄毛ケア5選|医師が教える科学的に意味のある方法

用語の整理(混同しやすいポイント)

医師が解説するHARG療法

まず、最初自分もよく理解できなかったのは「メソセラピー」。これはいったい何を指しているのか?クリニックによってはエレクトロポーションをメソセラピーと呼んでいたりしています

まずは用語の整理です。

「メソセラピー」「エレクトロポーション」「HARG療法」それぞれ説明します⬇️

※この記事の情報は著者も面識もあり、この業界の第一人者である桜花クリニックさんのホームページを参照にしております。価格等は2025年8月時点でのそれを掲載しております。ご了承ください。

メソセラピー

 

   まとめ:「投与手段(メソ/電気導入)」×「内容物(HARG/PRP/ペプチド等)」のマトリクスで考えると誤解が少ないです。

治療内容(公式サイトの主張と一般的な手技)

薬の説明

AAPE(Advanced Adipose-derived stem cell Protein Extract)
日本語では脂肪由来幹細胞抽出タンパク。ヒト脂肪由来幹細胞から得た成長因子やサイトカインを含むタンパク混合物の総称(製品名)。毛包まわりの環境を整える狙いで用いられますが、含有成分や濃度は製品・ロットで異なります

FGF(Fibroblast Growth Factor;線維芽細胞増殖因子)
細胞の増殖・分化・組織修復に関わる成長因子ファミリーの総称。ヘア領域ではFGF-7(KGF)などが毛包上皮の増殖や成長期移行をサポートするとされます(※FGFには多種類があり、作用は種類ごとに異なります)。

VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor;血管内皮増殖因子)
新しい毛細血管を作る(血管新生)シグナルを出す因子。頭皮では毛包周囲の血流・栄養供給を高める方向に働くとされ、発毛文脈でしばしば言及されます。

治療効果(科学的根拠の整理:外部文献)

ガイドライン、道標

公平な目線で、科学的根拠を持って、「治療の枠組みと全体像」を把握してみましょう。

  • まず土台(標準治療)

    日本皮膚科学会 AGA診療ガイドライン2017は、フィナステリド/デュタステリド(男性)・外用ミノキシジル(男女)を推奨度Aとしています。
    **成長因子導入や細胞移植(PRP/ADSC-CM等を含む)は推奨度C2(行わないほうがよい)**と整理されています。
    臨床試験の質・標準化の不足が理由です。(日本皮膚科学会Mindsガイドライン)
  • PRP(参考軸)

    2024年のメタ解析では、PRPで毛髪密度は有意に増加(一方で毛径は一貫せず・研究間の異質性は大)。
    PRP+ミノキシジル併用での上乗せ効果を示す報告もあります。(PubMedSpringerLink)
  • ADSC由来成分(HARGの根幹)

    16週の無作為化二重盲検試験ではADSC抽出成分の外用毛髪数・太さが増加(投与経路は外用)。
    ADSC-CM注入に関しては小規模前向き研究で毛髪数増加が報告されますが、大規模RCTは不足
    総説も“有望だが標準化と検証が必要”というトーンです。(stemcellsjournals.onlinelibrary.wiley.comPMCBioMed Central)
  • デリバリー(投与手段)の位置づけ

    水光注射は均一・定量投与という手技上の利点、エレクトロポレーションは一時的に角層バリアを破り分子導入を高める利点がありますが、手段そのものが“発毛効果”を保証するわけではない点には注意。(PubMedMDPI)

要点:HARG系は理論的妥当性と前向きデータはあるものの、エビデンス強度は現時点で標準薬に及ばない。選択するなら補助療法として、投与設計・評価方法を明確化するのが安全です。

PRP(Platelet-Rich Plasma;多血小板血漿)
自分の血液を遠心分離して血小板を高濃度に集めた製剤です。注入時や薬剤で活性化されると、血小板からPDGF・TGF-β・VEGF・EGF・IGF-1などの成長因子が放出され、創傷治癒の促進・微小血管の改善・毛包環境の活性化を狙います。
一般に自家製剤のためアレルギーは少ない一方、注入部の痛み・腫れ・内出血が出ることがあります。作り方(濃度・白血球の有無・活性化法)や投与回数で結果が左右されるのが特徴です。

費用感(公式情報のレンジ)

費用感、コスト

治療費用に関してはクリニックによってばらつきが大きいと言えます。使用する薬剤や投与・注入方法により変わります。決して安くはないのでよく考えて欲しいと思います。

   比較の目安:標準薬物療法は年間10〜15万円程度で済むケースが多い一方、注入系は数十万〜100万円超になりやすい(回数設計・維持通院を前提とするため)。

どうするべきか(利益相反のない勤務医としての提案)

  1. 標準治療をまず最適化

    3〜6か月は内服(男性:フィナ/デュタ)+外用ミノキを軸に。A推奨で再現性が高い。(日本皮膚科学会)
  2. 補助療法として段階的に追加

    標準治療で頭打ち・副作用で継続困難・イベント前の密度底上げを狙う場合に、PRPやHARG系トライアルで検討。**3〜6か月で客観指標(毛髪密度・太毛比・標準化写真)**を確認し、続行/撤退を判定。(PubMedPMC)
  3. 施設差の“見える化”で失敗を減らす

    HARGは製剤ロットや配合、投与深度・回数、併用(電気導入/水光)で結果が揺れます。プロトコール(回数・間隔)、評価法、合併症報告、費用の総額を事前確認。公式サイトの高満足・高発毛率自院データである旨も透明に共有。(〖公式〗桜花クリニック|HARG開発者のクリニック〖東京・新宿〗)
  4. 期待値コントロール

    標準薬>PRP>HARG(現時点の根拠の強さ)」という順の確からしさを前提に、合う人には価値がある可能性を“補助療法”として提示。無効時の撤退線も決めておく。(日本皮膚科学会PubMed)

実臨床の経験からすると「3ヶ月で判断するのは少し早い」という印象があります。やはり半年から1年は「標準治療を軸」にして食生活や睡眠などの「お金をかけずにできる方法」に力を注ぐ方が良いと思います。予算が確保できているならば「HARG療法」などの補助療法は「行うに越したことはない」というのが個人的な見解です。

よくある質問(簡潔版)

Q
HARG療法はメソセラピーと同じ?
A

同じではありません。HARGとは注入する薬剤や成長因子などの内容物(AAPE等)のことであり、メソとは投与手段(注射/水光/電気導入)のことです。HARGをメソで投与するという表現が正確です。

Q
効果はどのくらい期待できますか?
A

発毛率99%/満足度94.4%などクリニックによりばらつきはありますが発毛効果を期待できる補助療法です。外部文献は可能性を示すが異質性大で、標準薬ほどの確立度はない—この温度感で検討をする、あくまでも補助療法のひとつとして捉えましょう。

Q
ダウンタイムは?
A

水光注射では点状出血や一過性の膨疹・浮腫が数日〜1週で改善することがあります。電気導入は痛みが少ないとされます。

Q
どのくらいの費用を見れば良い?
A

例として6回コース約123万円/8か月、電気導入中心プラン40万円など。針などによる注入よりも電気導入の方が安くなる傾向があります。維持通院も考慮し総額で判断されるのも良いと思います。

参考(一次情報)

最後に(立場の開示と読み方)

私は勤務医として治療を勧める立場ではなく、判断材料を並べる情報提供者です。

  • 第一選択はガイドライン準拠の薬物療法
  • 注入系(PRP/HARG等)は補助療法として個々に検討。
  • 予算が確保できていれば個人的には「推奨する」
  • 費用・回数・評価指標・撤退基準を明確に決めておくこと

薄毛治療に関しては、やれば必ず生えるわけではないので予算や時間をどれほど注ぎ込むかは人それぞれの経済状況や価値観によります。医療全般に言えることですが、治療に対する反応は個人差があります。個人差というばらつきをうまく評価して、それに対する適切な治療を組み立てるのがクリニックや医師の「経験の蓄積」「腕の見せ所」であり、役割だと思います。

薄毛の進行は「老い」のひとつであり、男性にとっては認めざるを得ないものです。どう捉えて生きていくかというマインドも大事ですし、生活習慣を見直すきっかけになるという点でも人生に転機を与えてくれるかもしれません。
薄毛でもかっこいい人はいますし、モテる人もいます。人としてのトータルな魅力を磨いていくというのも重要なことだと思います。

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