傷跡をできるだけきれいに治したい人へ。手術後・けがの後に知っておきたい「テーピング」の話

美容医療・形成外科のこと

今回は、形成外科の専門的な話題を取り上げます。
外来で忙しそうなドクターになかなか聞けなかったりする
「傷跡のアフターケア」、主に「テーピング」について詳しくお話しします。

手術やけがのあと、
「できるだけ傷跡をきれいに治したい」
と思う方はとても多いと思います。

実際、診療をしていても患者さんからよく聞かれるのが、
「傷跡にはどんなテープを貼ればいいですか?」
という質問です。

傷跡のケアというと、特別な治療や通院が必要な印象があるかもしれません。
もちろん、赤みや盛り上がりが強い場合には、医療機関での診察や治療が必要になることもあります。
ただ一方で、病院へ頻繁に通わなくても、自宅で継続しやすいケアとして取り入れやすいのがテーピングです。術後の傷あとケア用テープとしては、傷跡を伸展刺激・摩擦刺激・紫外線から保護する考え方が一般的で、シリコンシートや医療用の紙テープが主に使用されています。

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病院へ通院しなくてもできる方法としてのテーピング

傷跡の見た目は、縫い方だけで決まるわけではありません。
その後にどれだけ余計な刺激を与えないか、どれだけ安定した環境を保てるかでも変わってきます。

テーピングのよいところは、
比較的手軽で、自宅で続けやすく、毎日の生活に取り入れやすいことです。

もちろん、どんな傷でもテープだけで完全に綺麗になるわけではありません。
それでも、少なくとも摩擦や牽引といった物理的な刺激を減らすという意味で、非常に現実的で意味のあるケアです。傷あと管理では、紙テープやシリコン材料を使って局所刺激を減らす方法が広く扱われています。

Dr.オーラ
Dr.オーラ

テーピング指導をしない医者は不親切!?
傷跡フォローの熱量に関しては、傷の大きさ、部位、患者さんの性格によって対応は様々です。
傷跡気にしているか、どうか?はドクターとしても気にする要素ですが、どのくらい気にしているのかを担当の医師に伝えておくことは大事だと思います。

テーピングの目的

傷跡にテープを貼る目的は、単に「隠すこと」ではありません。
主な目的は、次のようなものです。

1. 傷の保護

新しい傷跡は、ちょっと赤かったり、ピンク色をしていると思います。
この時期は見た目以上にデリケートです。
早い人だと「赤み」は2ヶ月くらいで落ちつきます。

この「赤み」のある時期に衣類がこすれたり、日常生活のちょっとした接触でも刺激になります。
テープを貼ることで、こうした外的刺激から傷跡を守ることができます。

2. 摩擦や牽引を減らす

関節の近くや、よく動く部位の傷跡は、毎日の生活の中で少しずつ引っ張られます。
この張力は、赤みや盛り上がりの悪化に関わる大事な要素です。
そのため、創部をテーピングで安定させることには意味があります。ケロイドや肥厚性瘢痕の予防・治療では、張力管理が重要とされています。

Dr.オーラ
Dr.オーラ

サポーターで張力管理はやりすぎ?
関節の動きを制限する目的でサポーターをすることもあるようです。それでどれほど良くなるのか?という疑問もあり、個人的には少し「やりすぎ」かなと思う節があります。それでも気になるのであればサポーターの使用も「なしではない」という温度感でしょうか。

3. 紫外線から守る

傷跡は紫外線の影響を受けやすく、色素沈着が長引く一因になることがあります。
テープだけで完全な紫外線対策になるわけではありませんが、直射を和らげる補助にはなります。特に露出部では、日焼け止めや遮光と併用するとより安心です。アトファインのような術後傷あとケア製品でも、紫外線保護が目的のひとつとして示されています。

シリコンによる瘢痕ケア

シリコンシートやシリコンテープは、傷跡を適度に保護し、日常的な刺激を減らしながら管理するために広く使われています。研究の質には限界もありますが、肥厚性瘢痕やケロイドの予防・管理で長く使われてきた方法です。

いつまでテーピングするのか(治療期間)

ここは患者さんからとてもよく聞かれるところです。

ひとつの目安としては、まず1〜3か月
そして、赤みや盛り上がりが気になる場合は、半年くらいまで継続してもよいと思います。

術後の傷跡は、抜糸が終わって一見きれいに見えても、その時点で完成ではありません。
実際には、その後の数週間から数か月の経過の中で、赤みや硬さ、盛り上がりが目立ってくることがあります。ケロイド・肥厚性瘢痕の管理では、閉鎖創に対して予防的にシリコンを使う考え方があり、毎日長時間・数か月単位での継続が前提になることもあります。

私自身は、
「傷が閉じた時点がゴールではなく、そこから先のアフターケアが大事」
と考えています。

少なくとも、傷跡の性質が見えてきやすい時期までは、焦らず丁寧に保護してあげるのがおすすめです。

テーピングを選ぶ際の基準

傷跡用のテープは意外と種類があります。
「どれが一番いいですか?」と聞かれることも多いのですが、実際には
その人の傷に合っていて、無理なく続けられるものが一番よい
というのが答えに近いです。

私が大事だと思うポイントは、次のようなものです。

1. 値段と続けやすさ

傷跡ケアは1日で終わるものではありません。
数週間から数か月続けることを考えると、高機能でも高すぎて続かないものは勧めにくいことがあります。

2. 購入しやすさ

薬局で買えるのか、ネットですぐ買えるのか。
これは想像以上に重要です。
良い製品でも手に入りにくいと、結局続きません。

3. かぶれにくさ

テープの糊でかぶれてしまうと、それ自体がストレスになります。
敏感肌の人や、長期間貼る必要がある人では、低刺激な素材かどうかは大切です。中にはソフトシリコンテープとして、標準的な粘着テープに敏感な人への使用を想定した製品もあります。

4. 貼り心地

毎日貼るものなので、違和感が強いと続きません。
特に顔、首、関節周り、下腹部などでは、厚みや柔らかさ、追従性がとても大事です。

5. 見た目

肌色で目立ちにくいか、厚すぎないか。
これは患者さんにとってかなり重要です。
どれだけ機能が良くても、見た目のストレスが大きいと継続しにくいからです。

実際の商品紹介

傷跡テープは、どれか1つが絶対的に優れているというより、
傷の長さ、場所、かぶれやすさ、続けやすさで選ぶのが現実的です。

特に大事なのは、
小さな傷と、帝王切開のような長い傷では、向いている製品が少し変わる
ということです。

1. 3M マイクロポア スキントーン

まず始めやすい、定番の紙テープ

小さな怪我や小手術後の線状の傷で、まず最初に選びやすいのがマイクロポアのような紙テープです。
薄くて比較的目立ちにくく、価格も比較的抑えやすいので、まずは手軽に始めたい人にはとても向いています。

多くの場合、病院の売店においてあると思います。
紙テープは術後瘢痕予防の選択肢として広く普及したものです。

向いている人
小さな怪我や小手術後の傷、まずは手軽に始めたい人、コストを抑えたい人

気になる点
糊でかぶれる人には合わないことがある。
シリコンテープに比較すると糊が肌に残ることがある。
糊の跡が、洋服の繊維などで汚れることも。

Dr.オーラ
Dr.オーラ

太いものと細いものがある
顔であれば細いテープを。それ以外ならば太い方で良いと思います。伸縮性がないので関節部には不向きだと思います。

2. メピフォーム

短めの傷を、もう少し重点的にケアしたいときに

メピフォームは、自己粘着性の薄いシリコンシートです。
サイズは 4×30cm、5×7.5cm、10×18cm などがあり、短め〜中くらいの傷をしっかりケアしたい場合に向いています。 (Mölnlycke Health Care)

向いている人
小手術後の線状瘢痕、赤みや軽い盛り上がりが気になる人、シリコン系を使いたい人
肥厚性瘢痕が気になる人
肥厚性瘢痕に対する修正手術を行なった人

気になる点
価格はやや高め、長い傷ではサイズや使い方に工夫が必要

Dr.オーラ
Dr.オーラ

高いけど良い製品?
個人的にはおすすめの商品です。マイクロポアと違い粘着力が落ちなければ繰り返し同じテープが使えます。とはいえ、高いので5×7.5cmを1枚購入して傷のサイズに合わせて切って使ってみてはどうでしょうか。糊でかぶれている人を見たことありません。

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3. メピタック

帝王切開のような長い傷に、かなり実用的な選択肢

今回、特に強調したいのがメピタックです。
メピフォームと同じメンリッケという会社から発売されているものになります。

メピタックはソフトシリコンの固定テープで、必要な長さに合わせて切って使いやすいロール形状なのが大きな特徴です。柔らかく、貼り直しや交換時の刺激を抑えやすい設計で、標準的な粘着テープに敏感な人への代替としても案内されています。 (amazon.com)

そのため、メピタックは
「長い傷を、無理なく、きれいに覆いたい」
という場面で非常に相性がよいです。

たとえば帝王切開の傷は、比較的長さがあり、しかも下腹部で動きや摩擦の影響も受けやすい部位です。
こうした傷では、単にシリコン素材であることだけでなく、
長さに合わせて貼れること
貼り替えの負担が少ないこと
かぶれにくさに配慮できること
がとても大事になります。

その意味でメピタックは、
小さな傷用の補助候補ではなく、
長い傷跡に対する主役級の選択肢として考えてよいと思います。 (amazon.com)

向いている人
帝王切開のような長い傷跡、できるだけ低刺激なものを選びたい人、傷の長さに合わせて自由に調整したい人

気になる点
価格はやや高め、瘢痕専用シートというよりは固定テープ寄りの位置づけ

Dr.オーラ
Dr.オーラ

その他ロール状のシリコンシートと比べると高いけど?
糊でかぶれさえしなければ「結果」に大きな差はないと思います。「肌が弱い」「かぶれやすい」という自覚がある方はメピタックにしておく方が無難かもしれません。

4. アトファイン

市販で入手しやすく、帝王切開の傷にも案内しやすい定番

アトファインは、日本ではかなり案内しやすい製品です。
ニチバン公式でも、術後傷あとケア用として、伸展刺激・摩擦刺激・紫外線から傷あとを守ることが打ち出されています。帝王切開後の傷あとケアの案内もあり、市販品としてのわかりやすさは大きな魅力です。 (nichiban.com)

向いている人
帝王切開後の傷あとケア、市販品でわかりやすいものを選びたい人、買いやすさを重視したい人

Dr.オーラ
Dr.オーラ

再利用性はある?
実績があり、広く認知されたもの、なお安いという点で優れていると思います。気をつけたいのはメンリッケの商品とは異なり再利用はできないということ。数日貼りっぱなしで管理し、新しいものに交換するという使い方が推奨されています。

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5. ロール状のシリコンシート

長い傷をコスト重視でケアしたい人の現実的な選択肢

楽天などで見かけるロール状のシリコンシートも、
帝王切開のような長い傷に対しては非常に合理的な選択肢です。

既成サイズのシートだと長さが足りなかったり、複数枚必要になってコストがかさむことがあります。
その点、ロール状なら必要な長さに合わせやすく、価格を抑えやすいのが魅力です。

一方で、製品ごとの品質差は無視できません。
粘着力、厚み、柔らかさ、再使用性、肌へのやさしさには差があるため、コスパは魅力でも、品質は見極めが必要です。一般向けの解説でも、医療グレードのシリコンや長時間使いやすさが重視されています。

コラム:ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

患者さんの中には、
「自分はケロイド体質なんです」
と言われる方が少なくありません。

もちろん、本当にケロイドができやすい方もいます。
ただ実際には、肘や膝、胸、肩まわりなど、張力がかかりやすい部位で傷跡が赤く盛り上がっているケースを、すべて「ケロイド体質」と思い込んでいることもあります。ケロイド・肥厚性瘢痕では、局所の張力が重要な要素として扱われています。

一般に、
元の傷の範囲内にとどまるものが肥厚性瘢痕
元の傷の範囲を超えて広がっていくものがケロイド
と考えられています。

見た目が似ていることもあり、患者さん自身で区別するのは難しいこともあります。
ただ、どちらであっても傷跡が気になるのであれば、早い段階から保護しておくことが大切です。

まとめ

傷跡をきれいに治したいなら、特別な治療だけがすべてではありません。
自宅でできる地道なケアとして、テーピングはとても現実的な選択肢です。

大切なのは、
いちばん高価なものを選ぶことではなく、自分の傷と皮膚に合っていて、無理なく続けられるものを選ぶことです。

  • 小さな傷なら、まずは紙テープが始めやすい
  • もう少し重点的にケアしたいなら、メピフォームのようなシリコンシート
  • 帝王切開のような長い傷では、メピタックやロール状シリコンシートのように、長さに合わせて貼りやすいものが強い
  • 市販で案内しやすいものとしてはアトファインも有力

傷跡は、手術が終わった瞬間に完成するものではありません。
むしろその後の数か月の過ごし方で、見え方が変わってくることもあります。
だからこそ、焦らず、でも放置せず、丁寧に付き合っていくことが大切です。

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