昔からあるホクロが、最近少し大きくなった気がする。
色や形が周囲のホクロと違って見える。
顔や体のホクロを取りたいけれど、レーザーと手術のどちらがよいのか分からない。

ホクロは、多くの人に見られる身近な皮膚のできものです。医学的には主に色素性母斑、母斑細胞母斑と呼ばれ、その大部分は良性です。
一方で、ホクロに似た皮膚がんが存在することや、良性のホクロであっても、治療する部位や深さによって傷あとの残り方が異なることも知っておく必要があります。
このページでは、現在公開している記事を、
- まずホクロについて知る
- 注意したい変化を知る
- レーザーと手術の違いを知る
- 切除した場合の傷を知る
- 傷が赤く盛り上がった場合について知る
という順番でご案内します。
まず、ホクロについて知る
ホクロとは?できる原因と「良性か悪性か」の基礎知識
ホクロは、生まれつきあるものだけでなく、成長する過程で新しく現れることもあります。
一般的なホクロは、メラニン色素に関係する母斑細胞が皮膚の一部に集まって増えることで生じると考えられています。また、母斑細胞が存在する深さによって、平らに見えるもの、盛り上がって見えるものなど、外見にも違いが生まれます。
「このホクロはいつからあったのか」
「盛り上がっているけれど大丈夫なのか」
「新しくできたホクロは悪いものなのか」
といった疑問を持った方は、まずこちらの記事から読むのがおすすめです。

注意したいホクロの変化を知る
危険なホクロのサインとABCDEルール
ホクロの大部分は良性ですが、見た目が似た病変の中に、悪性黒色腫や基底細胞癌などが含まれることがあります。
悪性黒色腫を見つける目安として知られているのが、ABCDEルールです。

- A:非対称性
左右の形が合わない - B:境界不整
輪郭がギザギザしている、境界がぼやけている - C:色調の多彩性
一つの病変の中に複数の色が混ざっている - D:直径
直径6mm以上 - E:経時的変化
大きさ、形、色、出血などが変わってきている
ただし、ABCDEルールは主に悪性黒色腫を想定した指標であり、すべての皮膚がんを判別できるものではありません。基底細胞癌では、光沢、細い血管、繰り返す出血や潰瘍など、異なる特徴が見られることがあります。
「昔と比べて変わった」
「ほかのホクロとこれだけ違って見える」
「出血やかさぶたを繰り返す」
という場合は、自己判断だけで済ませず、皮膚科や形成外科への相談を検討してください。
危険なホクロのサイン:ABCDEルールと基底細胞癌について読む
ホクロを取りたい方へ
レーザーと手術は、どちらを選べばよい?
ホクロの治療には、大きく分けて、
- 炭酸ガスレーザーなどで組織を蒸散させる方法
- メスで切除し、縫い合わせる手術
があります。
レーザーは、縫合を必要とせず、比較的小さな傷で治療できる可能性があります。一方、手術では組織を病理検査に提出できるため、診断を確実にしたい場合や、悪性が疑われる場合に重要です。
どちらが適しているかは、単に「レーザーの方が傷が小さい」「手術の方が確実」という二択では決まりません。
実際には、
- ホクロの大きさ
- 顔か体か
- ホクロの深さ
- 盛り上がりの程度
- 過去に治療したことがあるか
- 病理検査が必要か
- 傷が盛り上がりやすい部位か
- 再発の可能性
などを踏まえて判断します。
顔ではレーザー治療の許容範囲が比較的広い一方、背中や胸、肩などでは傷が盛り上がりやすく、手術の方が最終的に安定することもあります。また、唇の周囲やひげの生える部位など、顔の中でも注意が必要な場所があります。
下のイラストは、治療方法の選び方の1つの目安です。必ずしも全てのホクロでこれが当てはまるわけではありません。

手術後の傷について知る
丸いホクロを取ると、なぜ傷は細長くなるのか
丸いホクロを手術で切除する場合、丸い形のまま切り取って縫うのではなく、通常は両端を細くした紡錘形にデザインして切除します。
丸く切り取った皮膚をそのまま縫い寄せると、傷の両端に皮膚が余り、盛り上がりが生じやすくなります。この盛り上がりを「dog ear(ドッグ イヤー)」と言います。そのため、最終的に一本の線として縫い合わせやすい形に整えて切除します。

その結果、切除後の傷は、元のホクロの直径より長くなることがあります。
傷の長さや形は、
- ホクロの大きさ
- 切除する範囲
- 皮膚の余裕
- 傷を置く方向
- できている部位
- 周囲にかかる張力
などによって変わります。
「5mmのホクロなら、傷も5mm程度で済む」とは限らないため、手術前には想定される傷の長さや向きを確認しておくことが大切です。
傷が赤く盛り上がってきた場合
肥厚性瘢痕とケロイドの違い
ホクロをレーザーや手術で治療したあと、傷が赤く、硬く、盛り上がってくることがあります。
このような傷はすべて「ケロイド」と呼ばれがちですが、実際には肥厚性瘢痕であることも少なくありません。
肥厚性瘢痕とケロイドは見た目が似ていますが、重要な違いの一つは、傷の盛り上がりが元の傷の範囲内にとどまるか、傷の外側まで広がっていくかという点です。発生しやすい部位、経過、治療の考え方も異なります。
特に、
- 胸
- 肩
- 上腕
- 背中
- 耳
などは、傷が盛り上がりやすい部位です。
ホクロを取る方法を考える際には、単に治療直後の傷の小ささだけでなく、治癒にかかる時間や、最終的にどのような傷になる可能性があるかまで考えることが大切です。
どの記事から読めばよいですか?
ホクロそのものの仕組みや種類を知りたい方は、まず基礎知識の記事からお読みください。
色や形、大きさの変化があり、悪性ではないか心配な方は、ABCDEルールと基底細胞癌についての記事へ進んでください。
ホクロを取りたいと考えている方は、レーザーと手術の違いを解説した記事が参考になります。
手術による傷の長さが気になる方は、紡錘形切除の記事をお読みください。
すでに治療を受け、傷が赤く盛り上がっている方は、肥厚性瘢痕とケロイドについての記事をご覧ください。
早めの受診を考えたいサイン
次のような変化がある場合は、ホクロだと思い込まず、皮膚科や形成外科などへの受診を検討してください。
- 短期間で大きくなった
- 左右非対称になってきた
- 輪郭が不規則になった
- 色にムラがある
- 出血やかさぶたを繰り返す
- 表面が崩れたり、潰瘍のようになったりしている
- 以前とは明らかに見た目が変わった
- ほかのホクロと比べて、一つだけ目立って違う
- 治療後の傷が赤く盛り上がり、広がってきた
ABCDEルールにすべて当てはまらなくても、経時的な変化や本人が感じる違和感は、相談する理由になります。
下の金魚の中に、1匹だけ周りと違う金魚がいます。
このように「なんだか他のホクロとは違う」という違和感もとても大事な視点です。

形成外科医としてお伝えしたいこと
ホクロについて相談される方の悩みは、大きく二つに分かれます。
一つは、
このホクロは悪いものではないか
という不安です。
もう一つは、
取ったあと、どのような傷になるのか
という不安です。
良性か悪性かを考える視点と、きれいに治すための視点は、どちらも欠かせません。
レーザーは手軽に見えますが、深いホクロや傷が盛り上がりやすい部位では、治癒に時間がかかったり、再発したりする可能性があります。反対に、手術は傷が線として残りますが、組織を確実に取り、病理検査を行えるという大きな利点があります。
大切なのは、「レーザーか手術か」を最初から決めて受診することではなく、
- これは本当に良性らしいのか
- どの程度の深さがありそうか
- どの治療方法が選べるのか
- 治療後にどのような傷が想定されるのか
- 病理検査は必要か
を確認したうえで、自分が納得できる方法を選ぶことだと思います。
以下は、「まとめのスライド」です。

※このページは一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。気になる変化や繰り返す出血がある場合は、医療機関で診察を受けてください。