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肌が乾燥してきた。
さて、何を塗ろう。
僕は保険診療をしているので、こういうときにまず思い浮かぶのは、
ワセリン。
ヘパリン類似物質。
尿素。
あたりです。
一方、美容の世界では、
セラミド
という言葉をよく見かけます。
どれも「保湿」に使われるものですが、ふと思うと少し不思議です。
顔にも。
手にも。
すねにも。
かかとにも。
同じものを塗っておけばいいのでしょうか。
実際には、そう単純でもありません。
今回は、
「どの成分が一番いい?」
ではなく、
「どこが、どんなふうに乾燥している?」
というところから考えてみます。
まず、4つは同じことをしているわけではありません
ざっくり整理すると、
ワセリン
→ 水分が逃げないように、表面を守る
ヘパリン類似物質
→ 角層に水分を保たせる
尿素
→ 保湿しながら、硬くなった角質をやわらかくする
セラミド
→ 肌のバリア機能を支える脂質を補う
という違いがあります。医療用保湿剤についても、ヘパリン類似物質は角層に水分を与え、ワセリンは皮膚表面を覆って水分蒸散を防ぎ、尿素は保湿に加えて角質をやわらかくする働きがあると整理されています。マルホ
だから、
全部「保湿剤」ではあるけれど、得意なことが違う。
まずはこれだけ分かれば十分です。
顔が乾燥するなら?
顔は少し特殊です。
皮膚が比較的薄く、
目元や口元など刺激を感じやすい場所もあります。
だから僕なら、
尿素を顔に積極的に使おうとは考えません。
尿素は、バリア機能が低下している皮膚では刺激を感じることがあります。特に傷やひび割れ、湿疹のある部位には向きません。マルホ
顔の乾燥なら、
まず、
- 乳液
- クリーム
- セラミド配合製品
など、普段のスキンケアを見直す。
それでも口元や目元だけ乾燥するなら、
ワセリンを少量、部分的に使う
という方法もあります。
顔全体にべったり塗る必要はありません。
頬や口元だけ乾くなら?
これはよくあります。
頬だけつっぱる。
口の周りだけ粉をふく。
そんな場合に、スキンケア全体を重くしてしまうと、
今度はTゾーンがベタつく。
そこで、
乾燥しているところだけ重ねる
という考え方が使えます。
例えば、
普段の乳液やクリーム
↓
口元だけワセリン
くらいでもいい。
ワセリンは肌に水分を与えるというより、**すでにある水分を逃がしにくくする“ふた”**です。マルホ
だから、部分使いとは相性がいいと思います。
すねや腕がカサカサするなら?
今度は、顔よりずっと広い範囲です。
秋冬になると、
すねが粉をふく。
腕が白っぽくなる。
お風呂上がりにかゆい。
こういう乾燥には、
ヘパリン類似物質
はかなり使いやすい選択肢です。
伸びがよく、広い範囲に塗りやすい。
角層に水分を保持させるタイプなので、日常的な乾燥肌と相性がいい。マルホ
ローション、クリーム、フォームなど剤形もいろいろあります。
僕自身、保険診療で乾燥肌を診るときに使う頻度が高いのも、このあたりです。
ただし、
赤みや湿疹が強いなら、保湿剤だけで済ませない
ことも大切です。
軽い乾燥なら、普通のボディミルクでも十分です
ここまで読むと、
「乾燥したら、何か医薬品を塗った方がいいのかな」
と思うかもしれません。
でも、軽い乾燥なら、最初からそこまで考えなくても大丈夫です。
お風呂上がりに、ドラッグストアで買える普通のボディミルクを塗る。
それだけで十分な人もいます。
僕自身、昔はジョンソン®ボディケアのボディローションをよく使っていました。
理由はシンプルで、
安くて、気兼ねなく全身に使えたから。
今思えば、これは結構大事なことだと思います。
保湿は、何を使うかだけではなく、
ちゃんと毎日塗れるか
も大切です。
高価なものを少量だけ使うより、
自分に合ったものを、お風呂上がりに腕や脚へさっと塗る。
その方が続けやすい人もいると思います。
ジョンソン®ボディケアのようなボディローションも、毎日の乾燥予防としては十分選択肢になります。公式サイトでも、日常のボディ保湿を目的としたローションやミルクが複数展開されています。
ただ、
毎日塗っているのに粉をふく。
かゆみが出る。
乾燥がなかなか追いつかない。
そんな場合には、普通のボディミルクから一歩進めて、
ヘパリン類似物質などのOTC医薬品を考える
という流れでいいと思います。
大事なのは、
最初から一番強そうなものを選ぶことではなく、今の乾燥に必要なところまで使うこと。
そのくらいの感覚で十分です。
手がカサカサするなら?
手は少し難しいところです。
水仕事。
アルコール消毒。
石けん。
寒さ。
摩擦。
いろいろな刺激が重なります。
単純な乾燥だけなら、
ヘパリン類似物質やクリームでもいい。
でも、
指先が割れている。
赤い。
ヒリヒリする。
という場合には、
刺激のあるものを追加するより、
ワセリンなどで保護する
方が使いやすいことがあります。
逆に、
手のひらが厚く硬くなっている。
ごわごわしている。
という場合には、尿素が候補になる。
同じ「手の乾燥」でも、
カサカサなのか、ひび割れなのか、角質が厚いのか
で話が変わります。
かかとが硬くなっているなら?
ここは尿素が分かりやすいです。
かかとは角層が厚く、
冬になると硬くなったり、ガサガサしたりします。
こういう、
「乾いている」だけではなく「硬くなっている」
ところでは、尿素の角質をやわらかくする作用が役立ちます。あび皮膚科クリニック|つくばの皮膚の相談室
だから、
顔に使いたいものと、
かかとに使いたいものが、
同じである必要はありません。
むしろ、
かかとに向いている成分だからこそ、顔には向かないこともある。
この感覚は結構大切だと思います。
セラミドは、少し立ち位置が違います
ワセリン、ヘパリン類似物質、尿素は、
医療やOTCの「保湿剤」として考えることが多い成分です。
一方、セラミドは、
毎日のスキンケアの中で、肌のバリア機能を支える
という文脈で考えることが多い。
だから、
「ワセリンとセラミド、どちらが強い?」
という比較は、少し違うと思います。
例えば、
頬が乾燥しやすい。
刺激を感じやすい。
乳液を使っているのに、何となく乾く。
という人なら、
普段のスキンケアにセラミドを入れてみる
という考え方があります。
一方、
口元が部分的にカサカサするだけなら、
ワセリンを少し足せば十分かもしれない。
同じ乾燥でも、
目的が違います。
迷ったら、こんなふうに考える
かなり単純化すると、

という感じです。
もちろん、これは絶対的なルールではありません。
でも、
乾燥したら何でも同じものを塗る
よりは、かなり選びやすくなると思います。
薬局で買うなら、この3つが分かりやすい
ここまで読んで、
「考え方は分かった。でも、実際に薬局では何を買えばいいの?」
と思う方もいるかもしれません。
代表的なものを3つだけ挙げておきます。
ワセリンなら
プロペト ピュアベールa
白色ワセリンをさらに精製した、第3類医薬品の皮膚保護薬です。
肌に水分を与えるというより、皮膚表面を覆って水分が逃げにくくするタイプ。
口元や指先など、部分的に乾燥するところを守りたいときに使いやすいと思います。第一三共ヘルスケア
ヘパリン類似物質なら
ヒルマイルド
ヘパリン類似物質0.3%を配合した第2類医薬品です。
クリーム、ローション、スプレーなどがあり、例えばクリームは口元や頬などの部分使い、ローションは腕や脚など広い範囲に使いやすい設計になっています。健栄製薬株式会社
「病院でもらうヒルドイドに近い考え方の市販薬を探したい」という場合には、分かりやすい選択肢のひとつです。
尿素なら
ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム
尿素20%を配合した第3類医薬品です。
手のガサガサや、硬くなったかかと、ひじ・ひざなど、乾燥だけでなく角質が厚く硬くなっているところに向いています。対象年齢は15歳以上です。
「顔用」「身体用」と書いてある理由も少し分かってくる
化粧品売り場に行くと、
フェイスクリーム。
ボディクリーム。
ハンドクリーム。
フットクリーム。
いろいろあります。
僕は昔、
「結局、全部保湿なんだから同じようなものでは?」
と思っていました。
でも、
場所によって、
皮膚の厚さも違う。
皮脂の量も違う。
摩擦も違う。
必要な使用感も違う。
そう考えると、
製品が分かれているのにも、それなりに理由があります。
もちろん、全部を専用品にする必要はありません。
でも、
顔に合うものを、そのままかかとに使う必要もないし、
かかと用のものを、顔に使う必要もない。
そんなふうに考えるとシンプルです。
僕なら「どれが一番効く?」とは考えません
今回の4つを並べると、
「結局どれが一番いいの?」
と思うかもしれません。
でも、
ワセリンが一番。
でも、
ヘパリン類似物質が一番。
でもありません。
尿素も、セラミドも同じです。
それぞれ、
得意な場所と役割が違います。
例えば、
かかとの硬い角質にセラミド美容液を塗るより、
尿素を使った方が合理的なことがある。
逆に、
刺激を感じやすい頬に尿素を使うより、
普段の乳液やセラミド系の保湿を見直した方が自然なこともある。
一番強いものを探すのではなく、今の肌に合うものを選ぶ。
結局、そこに戻ってきます。
そして、赤い・かゆい・痛いなら「乾燥」だけではないかもしれない
最後にここだけは。
肌が乾燥していると思っていたけれど、
赤い。
かゆい。
ヒリヒリする。
ジュクジュクする。
何を塗ってもしみる。
こういう場合は、
単なる乾燥ではなく、皮膚炎などが隠れていることがあります。
その状態で、
「もっと保湿しよう」
といろいろなものを重ねると、
かえって刺激になることもあります。
塗るものを探す前に、一度診てもらう。
それも選択肢です。
乾燥したら、「何を塗る?」より先に「どこが、どう乾いている?」を見る
ワセリン。
ヘパリン類似物質。
尿素。
セラミド。
全部、肌の乾燥に関係するものです。
でも、
役割は少しずつ違います。
だから、
顔だからこれ。
ではなく、
今どこが、どんなふうに困っている?
と考える。
それだけで、選び方はかなりシンプルになります。
高価なものを選ぶ必要も、
成分をたくさん覚える必要もありません。
必要な場所に、必要なものを。
保湿も、それくらいでいいのではないでしょうか。


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