赤ちゃんの肌に赤いふくらみを見つけたら 赤ちゃんの赤いあざ、これって血管腫?いちご状血管腫(乳児血管腫)の基本を医師が解説

形成外科のこと

生まれて1〜2週間ほど経った頃、赤ちゃんの肌に小さな赤い点や、いちごのようなぶつぶつとしたふくらみを見つけて、驚いてしまうお母さん・お父さんは少なくありません。

「これはあざなの?病気なの?」「すぐに病院に行くべき?」と、検索窓に必死で文字を打ち込んだ方もいらっしゃるかもしれません。

結論からお伝えすると、これは乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)、昔から呼ばれている名前ではいちご状血管腫と呼ばれる、赤ちゃんの時期によく見られる良性のできものである可能性が高いです。多くは特別な治療をしなくても自然に小さくなっていきますが、できる場所や大きさによっては医師による診察が必要になることもあります。

この記事では、いちご状血管腫(乳児血管腫)とはどのようなものか、見た目の特徴や頻度について、できるだけわかりやすくお伝えします。

いちご状血管腫=乳児血管腫です

まず呼び方について整理しておきましょう。

「いちご状血管腫」という呼び方は、赤くつぶつぶとした見た目が、まさにいちごの表面に似ていることから、日本で昔からつけられてきた呼び名です。医学的には乳児血管腫という名称が正式なものとして使われています。どちらも同じものを指していますので、「いちご状血管腫と言われたけれど、乳児血管腫とも言われて混乱した」という場合も、心配する必要はありません。

乳児血管腫は、血管を作る細胞が一時的に増えてできる、良性の腫瘍(しゅよう)の一種です。「腫瘍」という言葉に驚かれるかもしれませんが、がんのような悪性のものではなく、多くは自然に縮んでいく経過をたどります。

色々な場所にできるいちご状血管腫
(提供:マルホ株式会社)
この記事の小まとめ
1
いちご状血管腫と乳児血管腫は同じもの
2
悪性のものではなく、良性のできもの
3
日本人の赤ちゃんでは100人に1人程度の頻度

いつ、どこに現れるの?

乳児血管腫の多くは、生まれたときにはまだ目立った状態ではありません。生後2週間ほどしてから、皮膚の上に少しずつ現れてくることが多いとされています。そのため、生まれてすぐの新生児訪問では気づかれず、1ヶ月健診のタイミングで小児科の先生に指摘されて初めて気づく、という流れがよくあります。

ただし、すべての赤ちゃんがこのパターンというわけではありません。早産で生まれた赤ちゃんや、体重が小さく生まれた赤ちゃんでは、生まれた時点ですでに小さな前触れのような変化が見られることもあります

現れやすい場所にも傾向があります。最も多いのは頭や首のあたりで、次に体、そして手足の順に多いとされています。

いちご状血管腫の好発部位(提供:マルホ株式会社)

頻度はどのくらい?

「うちの子だけにできてしまったのでは」と不安になる方もいらっしゃいますが、乳児血管腫は決して珍しいものではありません。

日本人の赤ちゃんでは、おおよそ100人に1人程度の頻度で見られるとされています。人種によって頻度には差があり、欧米の白人の赤ちゃんではもう少し高い頻度で見られることが知られています。また、女の子に多く、早産児や低出生体重児にも多い傾向があります

多くは特定の原因や遺伝によるものではなく、たまたま生じることがほとんどです。家族に同じものができた人がいる場合に発生率がやや上がるという報告もありますが、ご家族の誰かが何かをしたから、あるいはしなかったからお子さんにできた、というものではありません。お母さんが自分を責める必要は全くありませんので、まずこの点は安心していただきたいと思います。

提供:マルホ株式会社

見た目はひとつではありません

乳児血管腫と聞くと、赤くぷっくりと盛り上がった、いちごのような見た目を思い浮かべる方が多いかと思います。実際にそのタイプも多いのですが、見た目には実はいくつかのパターンがあります

皮膚の表面に近いところにできるタイプは、赤くいちごのようなぶつぶつとした質感になりやすく、これがいわゆる「いちご状」のイメージに近いものです。一方で、皮膚の少し深いところにできるタイプは、表面の皮膚の色味の変化が少なく、青みがかった膨らみとして触れる程度のこともあります。表面と深いところの両方にできる、混合したタイプもあります。

また、平らに広がるように見えるもの(局面型)から、こぶのように盛り上がるもの(腫瘤型)まで、形も様々です。

いちご状血管腫の「見た目の分類」(提供:マルホ株式会社)
Q皮膚の下にあって、赤くないものも乳児血管腫なの?
Aはい、可能性があります。皮膚の深いところにできるタイプ(深在型)は、表面の赤みが目立たず、青白い膨らみとして触れることもあります。見た目だけで判断がつきにくい場合は、小児科や形成外科で相談していただくのが安心です。

自然に治っていくことが多いタイプの病気です

ここまでお読みになって、「腫瘍」という言葉に不安を感じられた方もいらっしゃるかもしれません。乳児血管腫の大きな特徴は、多くの場合、特別な治療をしなくても自然に時間をかけて小さくなっていく、という経過をたどることです。

成長とともに大きくなる時期があり、その後ゆっくりと縮んでいく時期を経て、小学校に入る頃にはかなり目立たなくなっているケースが多く見られます。この経過の詳しい時間軸については、「いちご状血管腫はいつ消える?増殖期・退縮期の経過と自然な見通し」で詳しくお伝えします。

とはいえ、できる場所や大きさによっては、目や鼻などの機能に影響したり、整容面(見た目)で気になる状態が残ったりすることもあります。そうした場合には、医師による経過観察や、必要に応じた治療が検討されます。受診の目安や治療が必要になるケースについては、「いちご状血管腫、病院に行くべきタイミングは?治療が必要なケースを医師が解説」で詳しく解説します。

まとめ

赤ちゃんの肌に現れる赤いふくらみの多くは、乳児血管腫(いちご状血管腫)という良性のできものです。日本人の赤ちゃんではおよそ100人に1人程度に見られ、決して珍しいものではありません。多くは自然に縮んでいく経過をたどりますが、見た目にはいくつかのタイプがあり、できる場所によって注意が必要な場合もあります。

健診で「自然に消えていきますよ」と言われたものの、本当にそうなのか、何か気をつけることはないのか、と気になっている方は多いと思います。多くの場合、将来的には気にならない程度まで落ち着いていきますが、できる場所や大きさによっては少し注意しておきたいポイントや、治療の選択肢を知っておくと安心できる場面もあります。次の記事で、経過の見通しをもう少し具体的にお伝えしていきます。

次の記事では、増殖期・退縮期といった経過の時間軸や、見た目がどのように変化していくのかについて、より詳しくお伝えします。

提供:マルホ株式会社

参考文献

  1. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究班」. 血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版). 2023.

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