ニキビの外用薬|処方された薬を正しく使うために知っておきたいこと

形成外科のこと

ニキビで皮膚科を受診すると、外用薬(塗り薬)が処方されることがほとんどです。

しかし、「副作用が出たのでやめてしまった」「ニキビのある場所だけに塗っていた」「効かないと思って途中でやめた」——こうした声をよく耳にします。

処方された薬は、正しく使ってこそ効果を発揮します。この記事では、ニキビの外用薬を安心して使い続けるために知っておきたいことを解説します。

POINT
1 塗り薬のことがいまいちよくわかっていないけど大丈夫?
2 副作用が嫌で勝手に辞めたけどいいかな?
3 良くなったから辞めたけど、それでもう再発しない?

現在よく処方されるニキビの外用薬

ニキビの外用薬には、大きく分けて面皰(コメド)を改善・予防するものアクネ菌に作用するものがあります。それぞれの特徴をおさえておきましょう。

ニキビの外用薬|主な種類と役割
種類①
コメドを改善・予防する薬
アダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(BPO〔ベンゾイルパーオキシド〕:ベピオゲル・ベピオローション)などが該当します。毛穴の詰まりを解消し、新しいコメドができにくい状態にします。白ニキビ・黒ニキビから炎症性のニキビまで幅広く使われ、炎症が落ち着いた後の維持療法の中心にもなります。
種類②
アクネ菌に作用する外用抗菌薬
クリンダマイシン(ダラシンTゲルなど)、ナジフロキサシン(アクアチムクリームなど)、オゼノキサシン(ゼビアックスローションなど)が該当します。赤いニキビ・膿のニキビ(炎症性皮疹)への使用が基本で、コメドへの予防的な使用は適切ではありません。耐性菌予防の観点から、長期単独使用は避け、急性炎症期を中心に使います。
種類③
配合剤(2種類を1本にまとめたもの)
エピデュオゲル(アダパレン+BPO)やデュアック配合ゲル(クリンダマイシン+BPO)などがあります。1本で複数の作用が得られるため、治療の利便性が高まります。ただし刺激が出やすいことがあるため、最初は単剤から始める場合もあります。

どの薬を、どの組み合わせで使うかは、ニキビの状態(重症度・皮疹の種類)や体質によって医師が判断します。処方内容に疑問があれば、遠慮なく担当医に確認してください。

知っておきたい「正しい使い方」

「ニキビのある場所だけ」に塗るのは間違い

外用薬はニキビができている部分だけに塗る「スポット塗り」をしている方が多いのですが、これは推奨されていません。

ニキビは、目に見えていない段階(微小コメド〔びしょうコメド〕)からすでに毛穴の中で始まっています。ガイドラインでは、ニキビが出やすい部位全体(顔全体など)に薄く塗ることが推奨されています。

ただし、アダパレン(ディフェリンゲル)については添付文書上顔面のみの使用とされています。背中や胸への使用については担当医に確認してください。

使い始めは少量・狭い範囲から

刺激感が出やすい薬のため、最初からすべての部位に塗るのではなく、少量を狭い範囲に塗ることから始め、数日かけて徐々に塗る量と範囲を広げていく方法が勧められています。

使い始めに副作用が出ても、あわてないでください

ニキビの外用薬を使い始めると、多くの方に一時的な副作用が出ます。

使い始めによくある副作用と対処法
1
乾燥・赤み・ひりつき・皮むけ
使い始めの1〜2週間に約80%の方に現れます。多くは一時的な反応で、使い続けると徐々に落ち着いてきます。ノンコメドジェニックな保湿剤(コメドを引き起こしにくい保湿剤)を併用することで刺激を和らげながら治療を継続できます。
2
刺激が強くて続けられない場合
塗る量を少し減らす(チューブから1cm程度を全顔に薄く伸ばすイメージ)、または隔日使用に変更するなど、担当医に相談しながら調整してください。塗布後15〜20分で洗い流す「ショートコンタクト療法」を提案される場合もあります。
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すぐに受診が必要なサイン
かゆみが強い・ジクジクした発赤・腫れが広がるなどの症状はアレルギー反応(接触皮膚炎)の可能性があります。すぐに使用を中止して、早めに受診してください。

副作用が出ても、使い続けることで多くの場合2週間ほどで落ち着いてきます。ただし、かゆみが強い・ジクジクした発赤が出る場合はアレルギー反応の可能性があるため、すぐに使用を中止して受診してください。

副作用が心配でやめてしまう方が多いのですが、塗る量を少し減らしたり、ノンコメドジェニックな保湿剤(コメドを引き起こしにくい保湿剤)を併用することで刺激を和らげながら続けることができます。副作用が気になる場合は、自己判断でやめる前にまず担当医に相談してください。

BPO(過酸化ベンゾイル)を使う方へ|漂白作用に注意

BPO(ベンゾイルパーオキシド:アクネ菌に殺菌的に作用する外用薬)を含む製剤(ベピオゲル・ベピオローション・デュアック配合ゲル・エピデュオゲルなど)には、漂白作用があります。

⚠️ BPO製剤を使う方へ|漂白作用の注意点
1
タオル・枕カバー・衣類に触れると色が抜けることがあります。白いタオルや汚れてもよい枕カバーを使うか、薬が乾いてから触れるようにしましょう
2
使用後はしっかりキャップを閉め、容器や周囲を汚染しないよう注意してください
3
保存は25℃以下が必要です。夏場の車内・直射日光が当たる場所への放置は避けてください
4
ゼビアックスローション(外用抗菌薬)と重ねて塗ると変色することがあります。同時に使用する場合は担当医・薬剤師に使い方を確認してください

また、BPOを含む製剤は25℃以下での保存が必要です。夏場の車内や直射日光が当たる場所への放置に注意してください。

アダパレンを使う方へ|妊娠中の方は必ず申告を

アダパレン(ディフェリンゲル)は、妊婦または妊娠している可能性のある方には使用できません処方前に必ず担当医に申告してください。

📋 各外用薬の公式情報・くすりのしおり
処方された薬について詳しく知りたい方は、製薬企業の公式ページもご参照ください。
ベピオ®ゲル / ベピオ®ローション
過酸化ベンゾイル(BPO)|マルホ株式会社
公式ページ →
ディフェリン®ゲル
アダパレン(ADP)|マルホ株式会社
公式ページ →
デュアック®配合ゲル
クリンダマイシン+BPO配合|サンファーマ株式会社
くすりのしおり PDF →
エピデュオ®ゲル
アダパレン+BPO配合|マルホ株式会社
公式ページ →
※ 各リンクは製薬企業の公式サイトに移動します。デュアック配合ゲルのリンクはPDFが開きます。薬の使い方は必ず処方した医師・薬剤師の指示に従ってください。

日焼け止めは毎日使ってください

外用薬を使用している間は、皮膚が光に対して敏感になりやすい状態です。日焼け止めを使わずに紫外線を浴びると、薬の副作用が強まったり、ニキビ跡の色素沈着(PIH〔炎症後色素沈着〕)が悪化したりする可能性があります。

**毎朝、外用薬を塗った後に日焼け止めを使うことを習慣にしてください。**日焼け止めの選び方については、スキンケア記事も参考にしてください。

「治ったらやめていい」は間違い|維持療法の大切さ

ニキビの外用薬治療には、急性炎症期(赤いニキビ・膿が活発な時期)と維持期(皮疹が落ち着いた後も再燃・瘢痕を予防する時期)の2段階があります。

ニキビが落ち着いてきたからといって自己判断で薬をやめてしまうと、また繰り返すことが多くあります。担当医から「やめていい」と言われるまでは、維持療法として薬を続けることが再燃予防とニキビ跡の予防につながります。

また、エピデュオゲルなどの配合剤には、長期使用によって萎縮性瘢痕(凹みのあるニキビ跡)を目立たなくする作用が示されており、維持療法として続けることの意義はとても大きいとされています。

「外用薬でよくならない」と感じている方へ

保険診療の外用薬を正しく続けても、なかなか改善しない方がいることも事実です。その場合、いくつかの可能性が考えられます。

1
使い方・期間の見直しが必要な場合。外用薬は顔全体に塗る・維持期も続けるなど、正しく使えているか担当医と確認してみましょう
2
体質や肌の状態によって、外用薬だけでは効果が出にくい方もいます。内服薬の追加など、保険診療の範囲でまだ試せる選択肢がある場合もあります
3
それでも改善しない場合や、ニキビ跡(PIE〔赤み〕・PIH〔黒ずみ〕・凹み瘢痕)が気になる場合は、美容クリニックでの自費診療が次のステップになることがあります
Dr.オーラより:美容クリニックへの受診は「保険治療の失敗」ではありません。保険診療と自費診療はそれぞれ役割が異なり、うまく組み合わせることでより良い結果につながることがあります。ニキビ跡の治療や、できにくい状態を維持したいという目的での受診も、十分に意味があります。

まとめ

この記事のまとめ
1
外用薬はニキビのある場所だけでなく、ニキビが出やすい部位全体に薄く塗るのが基本です
2
使い始めの乾燥・赤みは一時的な反応です。保湿剤を併用しながら続けることが大切です。副作用が心配な場合は自己判断でやめず、担当医に相談してください
3
BPO製剤は漂白作用があります。タオル・枕カバー・衣類への付着と、高温保存に注意してください
4
毎朝日焼け止めを使うこと。紫外線はニキビ跡を悪化させ、外用薬の副作用も強まることがあります
5
ニキビが落ち着いても、担当医の指示があるまでは維持療法として薬を続けることが再燃とニキビ跡の予防につながります

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参考文献

  1. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. 日皮会誌,133(3):407-450,2023.
  2. 井上紗惠:痤瘡〔アダパレン,過酸化ベンゾイル〕. 治療,106(7):809-813,2024.
  3. 都築美輝,林伸和:痤瘡治療薬. MB Derma,336:115-122,2023.
  4. 田坂麻佑子,村阪敏規:ディフェリンゲル vs ベピオゲル. 調剤と情報,31(5):80-87,2025.
  5. Dreno B, et al:Adapalene 0.1%/benzoyl peroxide 2.5% gel reduces the risk of atrophic scar formation in moderate inflammatory acne. J Eur Acad Dermatol Venereol,31:737-742,2017.

著者:Dr.オーラ(形成外科医・再建外科医) 参考ガイドライン:日本皮膚科学会ガイドライン2023

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