健診で乳児血管腫(いちご状血管腫)を指摘されたとき、多くの場合「自然に小さくなっていきますから、様子を見ましょう」という説明を受けるかと思います。(乳児血管腫の基本的な特徴については、「赤ちゃんの赤いあざ、これって血管腫?いちご状血管腫(乳児血管腫)の基本を医師が解説」もあわせてご覧ください。)
ただ、実際に毎日お子さんを見ているお母さん・お父さんからすると、「本当に小さくなっているの?」「むしろ大きくなっている気がする」「いつになったら落ち着くの?」という気がかりが残るのも、自然なことだと思います。
結論からお伝えすると、乳児血管腫は大きくなる時期と、小さくなっていく時期がある程度決まったパターンをたどることが多く、その時間軸を知っておくと、今お子さんがどの段階にいるのかを把握しやすくなります。この記事では、その経過の見通しについて詳しくお伝えします。
乳児血管腫がたどる3つの時期
乳児血管腫の経過は、大きく3つの時期に分けて説明されます。
増殖期(ぞうしょくき):生後すぐから1歳半ごろまでの時期です。この間、血管腫は徐々に大きくなっていきます。特に生後数ヶ月の間に変化が大きく出やすく、お母さん・お父さんが最も心配になりやすい時期でもあります。
退縮期(たいしゅくき):1歳半ごろから5歳ごろまでの時期です。増殖期で大きくなった血管腫が、ゆっくりと縮んでいきます。色味も赤みが強い状態から、徐々に白っぽく、あるいは皮膚に近い色に変化していくことが多いです。
消失期(しょうしつき):5歳以降の時期です。多くの場合、この頃にはかなり目立たない状態まで落ち着いています。ちょうど小学校入学の頃と重なるため、「小学校に入る頃にはほとんど気にならなくなっていることが多い」という目安は、実際の臨床でもよく当てはまる印象です。
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増殖期はいつまで、どのくらい大きくなる?
増殖期の中でも、変化のスピードは一定ではありません。多くのお子さんでは、生まれてから数ヶ月の間に比較的急速に大きくなり、その後は緩やかな変化になっていく、という経過をたどります。
増殖期がいつまで続くかについては個人差が大きいですが、目安としては1歳半ごろまでとされています。その後は大きくなる勢いがおさまり、退縮期へと移っていきます。
退縮期:縮みながら、色も変わっていく
退縮期に入ると、血管腫は時間をかけて縮んでいきます。多くの場合、見た目の変化は「サイズが小さくなる」だけでなく、「色が薄くなる」という変化も同時に進みます。赤みの強い状態から、徐々に白っぽさやくすみを帯びた色合いに変わっていくことが多く、これは血管腫の中の血流が少なくなっていく経過を反映したものです。
退縮期は5歳ごろまで続くとされていますが、この時期の進み方にも個人差があります。「もうほとんど目立たなくなった」というお子さんもいれば、「まだ少し色味が残っている」というお子さんもいて、どちらも経過としては自然な範囲に含まれます。
消えた後、何も残らないの?
ここはお母さん・お父さんが特に気にされるポイントかと思います。多くの場合、消失期に入る頃にはかなり目立たない状態になりますが、すべてのケースで完全に元の肌と同じ状態に戻るわけではない、という点は知っておいていただきたいところです。
血管腫が大きかった場合や、表面に潰瘍(かいよう、皮膚がただれて傷になった状態)ができたことがある場合には、退縮した後にも皮膚のたるみや、瘢痕(はんこん、傷跡のような状態)、色味の違いが残ることがあります。こうした場合には、お子さんが大きくなった後に、整容面を整えるための外科的な処置(傷跡を整えるための手術など)を検討することもあります。

経過を見守る中で気をつけておきたいこと
増殖期から退縮期にかけての経過は、基本的には自然に進んでいくものですが、次のような変化が見られた場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、一度医師に相談していただくことをおすすめします。
短期間で急速に大きくなっている場合、傷のようになったりしている場合、出血を繰り返す場合、できている場所が目や鼻、口の周りなど機能に関わる部位である場合。
これらのポイントについては、「いちご状血管腫、病院に行くべきタイミングは?治療が必要なケースを医師が解説」で、受診のタイミングとしてさらに詳しくお伝えします。

まとめ
乳児血管腫は、増殖期(〜1歳半)、退縮期(〜5歳)、消失期(5歳以降)という流れで経過していくことが多く、小学校入学の頃にはかなり目立たなくなっているケースが多く見られます。一方で、経過には個人差があり、すべてが完全に元の状態に戻るわけではない場合もあります。
「本当に小さくなっているのかな」と感じる時期は、実は変化のスピードが緩やかになっているサインであることも多いです。一方で、急な変化や心配なサインがある場合には、経過観察だけに頼らず、早めに相談していただきたいと思います。次の記事では、実際にどのタイミングで受診すべきか、治療が必要になるケースについて具体的にお伝えします。
参考文献
- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究班」. 血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症 診療ガイドライン2022(第3版). 2023.


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