ニキビ肌のスキンケア|洗顔・保湿・日焼け止めの正しい選び方を形成外科医が解説

スキンケア・美容医療

「洗顔をしっかりしているのにニキビが治らない」
「保湿はしない方がいいと聞いた」——そんな声を診察室でよく耳にします。

ニキビに悩んでいる時、「まずは病院を受診する」というよりは
「まずは自宅でできること」を見直す方が多いと思います。

その自宅でできること=スキンケアなんですよね。

スキンケアの誤りが、ニキビを長引かせている原因になっていることは少なくありません。逆にいえば、正しいスキンケアに切り替えるだけで、ニキビの頻度や悪化を防げる可能性があります。

この記事では、ニキビ肌に必要なスキンケアの基本を、洗顔・保湿・日焼け止めの3つに分けて解説します。

POINT
1 洗顔の仕方や回数におすすめはあるの?
2 ニキビ肌には保湿は必要ないって本当?
3 日焼け止めもベタベタするし使っていないけど大丈夫?

スキンケアの前に知っておきたいこと|「皮膚バリア」の話

ニキビ肌のスキンケアを考えるうえで、まず知っておきたいのが皮膚バリア機能です。

皮膚の表面には、外からの刺激や乾燥を防ぐ「バリア」が備わっています。このバリアが壊れると、皮膚は乾燥・炎症を起こしやすくなり、ニキビが悪化しやすい状態になります。

ニキビ治療で使う外用薬(BPO・アダパレンなど)は皮膚への刺激が出ることがあるため、スキンケアでバリアを整えておくことが治療効果を高める土台にもなります。

① 洗顔|洗いすぎないことが最重要

洗顔の目的は、皮膚を「清潔にする」ことではなく、余分な皮脂・汗・古い角質を落とすことです。ゴシゴシ洗って皮脂を完全に落とそうとすると、皮膚はバリアを失い、かえって皮脂分泌が増えることがあります。

ニキビ肌の洗顔|基本ルール
1
1日2回まで。洗いすぎはバリア破壊につながります
2
ぬるま湯(32〜35℃程度)で洗う。熱いお湯は皮脂を落としすぎます
3
泡立てて、泡で包むように洗う。指で直接こすらない
4
すすぎは十分に。洗顔料の残留はニキビの一因になります
5
タオルでこすらず、やさしく押さえて水分をとる

ニキビ肌には、低刺激・弱酸性・泡立ちのよいタイプの洗顔料が基本です。スクラブ洗顔や洗顔ブラシは、炎症中のニキビを刺激するため赤ニキビ・膿疱(のうほう)がある時期は避けてください。

提供:マルホ株式会社

② 保湿|「ニキビ肌は保湿しない」は誤りです

「ニキビ肌はさっぱりさせるべき」「保湿すると毛穴が詰まる」という誤解は根強くあります。しかし、乾燥した皮膚はバリア機能が低下し、炎症が起きやすくなります。また、乾燥を補おうとして皮脂分泌が増えることもあります。

ニキビ肌こそ、適切な保湿が必要です。

ポイントは**「ノンコメドジェニック(non-comedogenic:コメドを引き起こしにくいと評価された処方のこと)」処方かどうか**を確認することです。

テクスチャー ニキビ肌との相性 選び方のポイント
ジェル・ウォータータイプ ◎ 向いている 油分が少なく軽い使用感。ノンコメドジェニック処方を選ぶ
乳液・ローションタイプ ○ 選べば使える ノンコメドジェニック処方・無香料・無着色を優先する
クリームタイプ △ 注意が必要 油分が多いものは毛穴を詰まらせる可能性がある。冬場の乾燥が強い時期に限定するのも一案
オイル・バーム ✕ 基本的に避ける コメドを形成しやすい成分が多い。ニキビ活動期は使用を控える
📋 コラム|保湿剤に含まれる「避けたい成分」

ノンコメドジェニック処方を選ぶことが基本ですが、成分レベルでも注意したいものがあります。以下の成分はコメド(毛穴詰まり)を形成しやすいとされており、ニキビ肌への使用は控えることが望ましいとされています。

⚠️ コメド形成リスクがある成分
  • オリーブオイル:アクネ菌の増殖に影響する可能性が指摘されています
  • オレイン酸:コメド形成能が確認されており、ニキビ皮疹の新生を助長するおそれがあります
  • カカオバター:同様にコメド形成能があるとされています

「天然由来」「オーガニック」と表示されていても、ニキビ肌には向かない成分が含まれる場合があります。成分表示を確認する習慣をつけておくと安心です。

参考:小林美和. スキンケア指導と美容. MB Derma, 318:61-69, 2022. / Kligman AM, et al. Br J Dermatol, 100(6):699-702, 1979.

避けたい成分として、鉱物油(ミネラルオイル)・ラノリン・イソプロピルミリステートなどがコメドを形成しやすいとされています。成分表示を確認する習慣をつけましょう。

📋 コラム|ノンコメドジェニックとは?

ノンコメドジェニック(non-comedogenic)とは、「コメド(毛穴詰まり)を引き起こしにくい」と評価された処方のことです。

もともとは1970年代にアメリカの皮膚科医Kligman博士らが提唱した概念で、化粧品の成分がコメドを形成するかどうかをウサギの耳を使った実験で評価したことが始まりです。

現在は統一された公的基準はなく、メーカーが独自に評価・表示しています。そのため「ノンコメドジェニック」と書かれていても、すべての人に合うわけではない点には注意が必要です。

Dr.オーラより:表示はあくまで目安です。使い始めはパッチテスト(腕の内側などで試す)をおすすめします。それでも合わないと感じたら、使用を中止して皮膚科に相談してください。

③ 日焼け止め|ニキビ肌でも毎日使うべき理由

紫外線はニキビの炎症を悪化させ、PIH(炎症後色素沈着〔えんしょうごしきそちんちゃく〕:ニキビ跡の黒ずみのこと)を引き起こすことが知られています。またニキビ治療薬のアダパレン・BPOは光への感受性が高まることがあるため、外用薬を使っている方こそ日焼け止めは必須です。

「日焼け止めがニキビを悪化させる」と感じる方は、製品の選び方に問題があることが多いです。

日焼け止め|ニキビ肌に向くタイプの選び方
◎ 優先
ノンコメドジェニック処方・オイルフリー・ジェルまたはミルクタイプ
軽い使用感で毛穴への負担が少ない。ニキビ肌向けと明記されているものが安心です。
○ 可
紫外線散乱剤(酸化亜鉛・酸化チタン)配合タイプ
紫外線吸収剤に比べて皮膚への刺激が少ないとされています。敏感肌・ニキビ肌に向く処方が多いです。
✕ 避ける
テクスチャーが重いクリームタイプ・ウォータープルーフの高油分タイプ
毛穴を詰まらせやすく、落とすための洗顔が負担になりやすいです。

SPFとPA値は、日常使いであればSPF30・PA+++程度で十分です。過度に高いSPF値を求めると、処方が重くなりニキビ肌には不向きな場合があります。

📋 コラム|「日焼けするとニキビが治る」は本当?

「日焼けすると肌が引き締まり、ニキビが改善する」という話を耳にすることがありますが、これを支持する科学的根拠はありません。

紫外線がニキビに与える悪影響
  • 紫外線照射により皮脂の分泌量が増加することが報告されています
  • 炎症性サイトカイン(IL-1αなど)の産生が促され、ニキビの炎症を悪化させる可能性があります
  • 紫外線はニキビ跡のPIH(黒ずみ)を深くする原因になります
  • アダパレン・BPO使用中は光への感受性が高まっているため、特に注意が必要です
Dr.オーラより:一時的に日焼けで皮膚が乾燥して「ニキビが目立たなくなった」ように感じることはありますが、炎症や色素沈着は悪化しています。日焼け止めは毎日・季節を問わず使うことが、ニキビ治療の大切な土台です。
参考:Suh DH, et al. Eur J Dermatol, 12:139-144, 2002. / Lee WJ, et al. J Dermatol, 40:993-997, 2013. / 小林美和. スキンケア指導と美容. MB Derma, 318:61-69, 2022.

スキンケアと外用薬を併用するときの注意点

提供:マルホ株式会社

皮膚科でBPO(ベンゾイルパーオキシド:アクネ菌に効果的な外用成分)やアダパレン(ADP:毛穴の詰まりを改善するレチノイド系外用薬)を処方されている方は、スキンケアとの組み合わせで刺激が強くなることがあります。

外用薬使用時のスキンケア順番(夜の例)
1
洗顔
2
化粧水・ジェル保湿(薄く・軽く)
3
外用薬(BPO・アダパレンなど)を塗布
4
必要に応じて薄く保湿(乾燥が強い場合)
※ 処方された医師の指示を優先してください。外用薬による乾燥・刺激が強い場合は、使用量や頻度の調整を相談しましょう。

まとめ

この記事のまとめ
1
洗顔は1日2回まで。泡で包むように洗い、こすらないことが基本です
2
ニキビ肌にも保湿は必要。ノンコメドジェニック処方・オイルフリーのジェルや乳液を選びましょう
3
日焼け止めは毎日使う。紫外線はニキビ跡(PIH・黒ずみ)を悪化させます
4
外用薬を使っている方は、スキンケアとの順番・刺激のバランスを処方医に確認しましょう

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参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 尋常性痤瘡・酒皶・毛包炎診療ガイドライン2023.
  2. Zaenglein AL, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. J Am Acad Dermatol. 2016;74(5):945-973.e33.
  3. Draelos ZD. The effect of a daily facial cleanser for normal to oily skin on the skin barrier of subjects with acne. Cutis. 2006;78(1 Suppl):34-40.
  4. Chularojanamontri L, et al. Moisturizers for acne: What are their constituents? J Clin Aesthet Dermatol. 2014;7(5):36-44.

参考ガイドライン:日本皮膚科学会ガイドライン2023・AADガイドライン2016

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