「ダーマペン」や「サブシジョン」、名前は聞いたことがあるけれど
前回の記事では、フラクショナルレーザーとRFマイクロニードルについてお話ししました。ニキビ跡の治療を調べていると、これら以外にも「ダーマペン」や「サブシジョン」という言葉を目にすることがあるかもしれません。SNSや美容メディアでも紹介される機会が多く、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、この2つの治療がそれぞれどのようなものなのか、どんな凸凹に向いているとされているのかを整理してお伝えします。

結論:跡の”形”によって、向いている治療が異なります
ニキビ跡(萎縮性瘢痕)は、見た目の形状によっていくつかのタイプに分類されます。細く深い「アイスピック型」、なだらかな陥凹が続く「ローリング型」、縁がはっきりした「ボックスカー型」などです。今回ご紹介するダーマペン(ニードリング)とサブシジョンは、いずれもローリング型の瘢痕に効果が高いとされている治療です。
裏を返せば、アイスピック型やボックスカー型が中心のお悩みには、必ずしも第一選択とはならない場合があります。ご自身の跡がどのタイプに近いのかは自己判断が難しいところですので、診察のうえで医師に確認してもらうことをおすすめします。
なお、これまでの記事でも触れてきた通り、瘢痕を完全に元通りにすることは難しく、目立たなくすることが治療の目標となります。治療を始める前に、どこまでの改善が見込めるのか、治療のゴール(エンドポイント)について医師とよく話し合っておくことが大切です。



ダーマペン(ニードリング)とは
ダーマペンは、「ニードリング」または「マイクロニードリング」と呼ばれる治療法の一種です。針が並んだローラーを転がす方法や、電動で細かい針を皮膚に出し入れする機械化された方法があり、皮膚に微細な無数の穴を開けていきます。
この微細な傷が治っていく過程でコラーゲンが生成され、肌にハリが出ることを目的とした治療です。前述の通り、ローリング型の瘢痕に有効とされています。
ダーマペンは比較的手軽なイメージを持たれることが多い治療ですが、「針で皮膚に穴を開ける」という医療行為であることに変わりはありません。エステサロンなどでも類似の施術が行われていることがありますが、深さの調整や衛生管理の観点から、医療機関での施術をおすすめします。
サブシジョンとは
サブシジョンは、局所麻酔を行ったうえで、針または先端が丸くなった鈍針カニューレを瘢痕の下に挿入し、前後に動かすことで皮膚の下にある線維化した組織(瘢痕を引っ張り込んでいる組織)を切離し、へこんでいる部分を持ち上げる治療法です。ダーマペンと同様に、ローリング型の瘢痕に効果が高いとされています。
以前は「ノコアニードル」と呼ばれる特殊な針を用いる方法が主流でしたが、近年は先端が丸い鈍針カニューレを用いる方法も広く行われるようになっています。針とカニューレを比較した報告では、効果は同等程度である一方、カニューレの方が副作用が少なく、患者さんの満足度も高かったとされています。
また、サブシジョンによって組織を剥離させた部分に、PRP(多血小板血漿)やヒアルロン酸などを注入する方法を組み合わせることで、治療成績が向上し、へこみが再び戻ってしまうことを防ぐ効果が期待できるとされています。
併用されることが多い治療
ダーマペンやサブシジョンは、単独ではなく、ほかの治療と組み合わせて行われることも少なくありません。例えば、サブシジョンで組織を剥離させた部分に、ポリ-L-乳酸(PLLA)やポリ-DL-乳酸(PDLLA)といった、コラーゲンの生成を促す成分(コラーゲンブースターとも呼ばれます)を注入する方法があり、数週間ごとに複数回の注射を行うことで、ローリング型の瘢痕治療に役立ったとする報告もあります。
どの治療をどう組み合わせるかは、瘢痕の状態を見た担当医が判断するものですので、「これとこれを組み合わせてほしい」と自己判断で決めるのではなく、まずは相談してみるとよいでしょう。
知っておいていただきたい注意点
- 瘢痕のタイプによって効果には差があります。 ダーマペン・サブシジョンともに、主にローリング型の瘢痕を対象とした報告が中心です。アイスピック型やボックスカー型が主体の場合は、以前の記事でご紹介したフラクショナルレーザーなど、別の治療が検討されることもあります。
- 針を使う治療であることに変わりはありません。 ダーマペンもサブシジョンも、医療用の針を用いる処置です。衛生管理や麻酔の方法、施術後のケアについて、必ず医療機関で説明を受けたうえで受けるようにしてください。
- 1回で完結する治療ではありません。 いずれも複数回の施術を重ねながら経過を見ていく治療とされています。
まずやるべきこと
ダーマペンやサブシジョンに興味を持たれた場合も、まずは診察を受け、ご自身の瘢痕がどのタイプに近いのかを確認してもらうことが第一歩です。そのうえで、
について、担当医と相談しながら治療方針を決めていくことをおすすめします。
よくある質問
ダーマペンもサブシジョンも、正しく使えば有用な選択肢になり得る治療です。ただ、「跡の形」によって向き不向きがあることは、意外と知られていません。まずはご自身の跡がどのタイプなのかを知ることから始めていただければと思います。
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参考文献
- 木村有太子:座瘡瘢痕治療の”あと一歩”.MB Derma, 348:234-241, 2024.
(本記事はDr.オーラ(形成外科医・再建外科医)が医学文献をもとに執筆しています。個別の症状については医療機関でご相談ください。)


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