「アキュテイン」「イソトレチノイン」「アクネトレント」という薬を調べたことはありませんか
これまでのシリーズでは、保険診療の外用薬・内服薬、美容医療についてお話ししてきました。今回は少し毛色が異なりますが、重症のニキビに悩む方が調べるうちにたどり着くことの多い、経口イソトレチノイン(海外での商品名「アキュテイン」など)という薬についてお伝えします。
これは海外では重症ニキビの治療に広く使われている薬ですが、日本では医薬品として承認されていません。この記事では、正しい知識と、特に注意していただきたいリスクについて整理します。

結論:有効性が期待される一方、日本では未承認であり、自己判断での入手は危険です
経口イソトレチノインは、皮脂の分泌と毛穴の詰まり(角化異常)の両方を抑えることでニキビを改善する薬とされ、欧米のガイドラインでは重症ニキビに対する第一選択の一つに位置づけられています。日本国内の皮膚科医・美容皮膚科医を対象にした調査でも、標準治療だけでは対応が難しい重症例に対して、多くの医師がこの薬の必要性を感じているという結果が報告されています。
一方で、現時点(2026年7月時点)で日本国内では医薬品として承認されておらず、使用する場合は自費診療、かつ医師の個人輸入などの手段によることになります。催奇形性をはじめとする重大な副作用があるため、厚生労働省は個人での安易な入手について注意を呼びかけています。
イソトレチノインとは、どんな薬なのか


イソトレチノインは、ビタミンA関連の成分(レチノイド)の一種を内服する治療薬です。皮脂腺を小さくして皮脂の分泌を強く抑える作用と、毛穴の詰まりの原因となる角化異常を改善する作用をあわせ持つとされています。この2つの作用を併せ持つことが、外用薬や抗菌薬とは異なる特徴とされています。
海外では、標準的な治療で十分な効果が得られない重症・最重症のニキビや、「集簇性痤瘡」と呼ばれる特に難治性のタイプに対して用いられています。日本国内でも、ニキビの改善を目的として保険診療の枠外で低用量を用いる例が報告されているほか、毛穴の開きを主訴とする診療の中で使用されることもあるとされています。
知っておいていただきたいリスク
イソトレチノインには、次のような重大なリスクが伴うとされています。
これらのリスクを踏まえ、海外では内服前後の血液検査や定期的な妊娠検査など、厳格な管理体制のもとで処方が行われる仕組みが整えられています。
クリニックを選ぶ際に確認したいポイント
実際に自費診療で処方する医療機関を探す際、どこを見ればよいか迷う方も多いと思います。日本では公的な処方基準が存在しないため、管理体制は医療機関によって差があるのが実情です。少なくとも、次のような点がきちんと説明・実施されているかを確認することをおすすめします。
これらは、海外の管理プログラム(iPLEDGEなど)や医学文献で重視されているポイントを踏まえたものです。説明が曖昧なまま処方だけを急ぐような医療機関には、慎重になっていただくことをおすすめします。
「積算量」という考え方について
イソトレチノインの治療では、1回あたりの服用量だけでなく、**治療期間全体でどれだけの量を服用したか(積算量、トータルの服用量)**が、治療後の再発率に関わるという考え方が、海外の研究で報告されています。一定水準以上の積算量を目安にすることで再発を抑えられる可能性がある一方、服用量が多いほど副作用のリスクも高まるため、どのあたりを目安にするかは医師によって考え方が分かれる部分でもあります。
「とにかく多く飲めば再発しにくい」というものではなく、効果とリスクのバランスを見ながら、医師が個別に投与量や治療期間を調整していくものだとご理解ください。
最も大切な注意:個人輸入は絶対に避けてください
厚生労働省は、日本国内で未承認の難治性ニキビ治療薬(アキュテインなど)について、個人輸入による入手に注意を呼びかけています。個人輸入した薬を医師の管理なしに自己判断で使用することは、重大な副作用が生じた際に適切な対応ができないだけでなく、偽造品や品質の不確かな製品を服用してしまうリスクも伴います。
「効果が高いらしいから」「海外では普通に売っているから」といった理由で、通信販売や個人輸入代行サービスを通じて自己判断で入手することは、絶対に避けていただきたいと思います。
使ってみたいと思ったら
経口イソトレチノインに関心を持たれた場合は、まず皮膚科・美容皮膚科を受診し、次のような点を確認することをおすすめします。
自費診療かつ日本では未承認の薬剤であるため、実際に処方している医療機関は限られています。信頼できる医療機関で、リスクの説明や定期的な検査体制がしっかりしているかを確認したうえで検討することが大切です。
よくある質問
経口イソトレチノインは、重症のニキビでお悩みの方にとって効果が期待される選択肢の一つであることは事実です。ただ、日本では未承認薬であることに加え、催奇形性という取り返しのつかないリスクを伴う薬でもあります。もし関心をお持ちであれば、必ず信頼できる医療機関で、リスクについて十分な説明を受けたうえで検討していただきたいと思います。個人輸入での自己判断使用だけは、本当に避けていただきたいというのが、医師としての率直な思いです。
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参考文献
- 林伸和,佐々木優,黒川一郎,谷岡未樹,古川福実,宮地良樹,山本有紀,川島眞:本邦での集簇性痤瘡,重症痤瘡患者の頻度および経口イソトレチノインに対する皮膚科医の意識調査.日臨皮会誌, 38(4):629-634, 2021.
- 山﨑研志:国内外の動向からみた痤瘡治療の話題.皮膚病診療, 46(5):394-397, 2024.
- 田中志保:美肌になるための毛穴治療.MB Derma, 364:83-90, 2025.
本記事はDr.オーラ(形成外科医・再建外科医)が医学文献をもとに執筆しています。個別の症状については医療機関でご相談ください。経口イソトレチノインの個人輸入・自己判断での使用は重大な健康被害につながるおそれがあるため、絶対に行わないでください。


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