ニキビの内服薬|抗菌薬・漢方薬について知っておきたいこと

形成外科のこと

ニキビの治療は外用薬(塗り薬)が基本ですが、中等症以上のニキビや、外用薬だけでは十分に改善しない場合に、内服薬(飲み薬)が処方されることがあります。

どんな薬が使われるのか、飲む際に何を気をつければよいのか——この記事では、ニキビの内服薬について患者さんが知っておくと役立つ基本的な情報をまとめます。

POINT
1 どんな抗菌薬が処方されるの?
2 どれくらいの期間、飲み続けて大丈夫なの?
3 漢方薬も効くって聞いたけど実際どうなの?

内服薬が使われる場面

内服薬は、すべてのニキビに使われるわけではありません。主に次のような状況で検討されます。

内服薬が検討される主な場面
1
中等症以上のニキビ(赤いニキビ・膿疱が片顔に6個以上)で、外用薬だけでは対応が難しい場合
2
外用薬を一定期間続けても十分な改善が見られない場合
3
結節・嚢腫など深く重症のニキビで、瘢痕(ニキビ跡の凹み)を残さないために積極的な治療が必要な場合

どの内服薬を使うか、外用薬と組み合わせるかどうかは、ニキビの重症度や状態を見て医師が判断します。

抗菌薬の内服

使われる主な薬

ニキビに使われる内服抗菌薬は、アクネ菌への抗菌作用に加えて抗炎症作用も持つテトラサイクリン系(ドキシサイクリン・ミノサイクリンなど)やマクロライド系(ロキシスロマイシンなど)が中心です。日本のガイドラインではドキシサイクリンが最も推奨度が高く(推奨度A)、ミノサイクリンは副作用の観点から推奨度がやや下がります(推奨度A*)

使用期間は原則3か月まで

内服抗菌薬は**急性炎症期(原則3か月まで)**の使用が基本です。長期使用はアクネ菌が抗菌薬に対して耐性を獲得する(効かなくなる)リスクがあるため、炎症が落ち着いたら外用薬による維持療法に切り替えます。

抗菌薬の内服|知っておきたい注意点
1
自己判断でやめない
「よくなってきたから」と途中で内服をやめると、耐性菌が生じやすくなります。担当医の指示通りに服用してください。
2
外用薬と必ず併用する
内服抗菌薬の単独使用は耐性菌のリスクが高まるため、BPO(過酸化ベンゾイル)などの外用薬との併用が基本です。
3
主な副作用を知っておく
胃腸障害(吐き気・腹痛)、光線過敏症(日光に当たると肌が赤くなりやすい)などが起こることがあります。ミノサイクリンではめまいや色素沈着(歯・皮膚・粘膜への着色)の報告もあります。気になる症状が出たら担当医に相談してください。
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内服と外用で同じ系統の抗菌薬を重ねて使うと、耐性菌が生じやすくなります。使用中の薬はすべて担当医に伝えてください。

漢方薬の内服

ガイドラインでの位置づけ

漢方薬は、ガイドライン上では「推奨度C1(選択肢のひとつとして推奨する)」に位置づけられています。これは「標準治療(外用薬)が最重要であり、漢方はその補助的な選択肢」という意味です。エビデンスレベルとしては高くありませんが、臨床の現場では外用薬と組み合わせて早期から用いることが有意義という考え方もあります。

主に使われる漢方薬

ニキビに使われる主な漢方薬
推奨度 C1 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
炎症を鎮める生薬に加えて、血を補う「補血剤」を含みます。難治例や長期投与を考える場合に向いているとされます。面皰(コメド)に対しても推奨度C1とされており、維持期にも使いやすい漢方です。
推奨度 C1 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
熱を冷ます「清熱剤」を多く含み、炎症を力強く鎮める作用があります。赤みの強いニキビに向いているとされますが、体を冷やす性質があるため、冷え性の方には合わない場合があります。
推奨度 C1 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
化膿を抑え炎症を鎮める作用があります。清上防風湯に比べて体を冷やす力がマイルドなため、冷え性の方や体力がない方にも使いやすいとされます。
参考 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の巡りを改善する「駆瘀血剤(くおけつざい)」の代表的な漢方です。生理周期に伴ってニキビが悪化する方に、上記の漢方と組み合わせて用いることがあります。

漢方薬と市販品について

荊芥連翹湯・清上防風湯・十味敗毒湯はいずれも市販品が販売されており、ドラッグストアでも購入できます。ただし、漢方薬は体質(証〔しょう〕)に合ったものを選ぶことが重要です。自己判断で長期服用するよりも、気になる方は皮膚科や漢方に詳しい医師に相談することをおすすめします。

また、生理周期に伴ってニキビが悪化する方には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を他の漢方薬に併用するとよい場合があります。

まとめ

この記事のまとめ
1
内服薬は中等症以上や外用薬だけでは改善しない場合に使われます。外用薬との併用が基本です
2
抗菌薬の内服は原則3か月まで。自己判断でやめず、担当医の指示に従いましょう
3
漢方薬(荊芥連翹湯・清上防風湯・十味敗毒湯)はガイドライン上の補助的な選択肢です。市販品もありますが、体質に合った選択のために医師への相談をおすすめします
4
生理周期でニキビが悪化する方は、桂枝茯苓丸の併用が検討されることがあります

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参考文献

  1. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. 日皮会誌,133(3):407-450,2023.
  2. 都築美輝,林伸和:痤瘡治療薬. MB Derma,336:115-122,2023.
  3. 鳥居靖史:痤瘡,にきび・吹き出もの. 薬局,75(14):83-85,2024.
  4. 赤松浩彦,赤松眞木:痤瘡(にきび)私の治療. 日本医事新報,5252:49-50,2024.

著者:Dr.オーラ(形成外科医・再建外科医) 参考ガイドライン:日本皮膚科学会ガイドライン2023

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