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最近、通勤電車の中吊り広告で、鮮やかな緑色のパッケージが目に留まりました。洒落たシャンプー紹介しているな、と思っていたら、よく見ると「コラージュフルフルプラス」というシャンプーでした。
実はこの製品、皮膚科・形成外科の医師や、創傷ケアを専門とするWOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)など、皮膚に関わる医療者の間では古くから知られた、いわば「玄人が知っている」ブランドです。
結論から、
と僕は考えています。
医師が「カビ」に注目する理由

「雑菌」や「バイ菌」とひとくくりに語られがちですが、皮膚に悪さをする微生物には大きく分けて「細菌」と「真菌(カビ)」があります。この2つは性質がまったく異なり、対策も別物です。
水虫(足白癬)、爪水虫、カンジダ症、そして頭皮のフケ・かゆみ・ニオイ。一見バラバラに見えるこれらの皮膚トラブルの背景に、真菌が関わっているケースは臨床の現場で決して珍しくありません。
大学病院で創傷や皮膚病変を診ていると、「皮膚のバリア機能が落ちているところに、カビが静かに悪さをしている」という場面に度々出会います。
水虫(足白癬)は、Trichophyton属などの皮膚糸状菌というカビが原因の感染症です。世界人口の約3%が罹患していると推定されており、決して珍しい病気ではありません。
見過ごされがちなのが、水虫と蜂窩織炎(ほうかしきえん)の関係です。蜂窩織炎は皮膚の深いところで細菌が広がる急性の感染症で、足の腫れ・赤み・発熱を伴うことがあります。フランスで行われた症例対照研究では、足白癬(趾間型)がある人は、ない人に比べて下腿の蜂窩織炎のリスクが約3倍高いという結果が報告されています。カビ自体が蜂窩織炎を起こすわけではありませんが、水虫によって皮膚のバリアに小さな亀裂ができ、そこから細菌が侵入しやすくなると考えられています。特にリンパ浮腫がある方では、指の間の水虫が蜂窩織炎の危険因子になるとする報告もあります。
カンジダ症は、Candida属という酵母様真菌によって起こります。健康な皮膚や粘膜にも常在していますが、免疫力が低下した方や、蒸れやすい部位では過剰に増殖し、赤み・かゆみ・びらんを引き起こすことがあります。
このように、「カビ」と一口に言っても足のカビ(白癬菌)と頭皮のカビ(マラセチア菌)は種類が異なります。ただし、皮膚のバリアが崩れたところにカビが関与し、そこからトラブルが広がっていくという構図は共通しており、これが医療者の間で「皮膚トラブルとカビは切り離せない」と言われる理由です。
頭皮のニオイ・フケ・かゆみの主犯格「マラセチア菌」

頭皮に話を戻します。
マラセチア菌は誰の頭皮にも存在するありふれた常在菌ですが、皮脂を分解する際に生じる遊離脂肪酸が頭皮を刺激し、フケや炎症、ニオイの原因になることが指摘されています。
複数の研究レビューでも、
が報告されており、抗真菌薬による治療でフケ症状が改善することも、この関与を裏付ける根拠のひとつとされています。
頭皮環境とAGAの関係 ─ エビデンスは発展途上

「頭皮のカビはAGA(男性型脱毛症)にも関係するのか」という点は、育毛に関心がある方には特に気になるところだと思います。
近年の研究では、
という報告があります。
一方で、別の研究では逆に毛包内のマラセチア菌が減少していたとする結果もあり、研究間で一貫した結論は得られていないのが現状です。頭皮の微小炎症(perifollicular micro-inflammation)がAGAの進行に関与している可能性自体は多くの研究者が指摘していますが、マラセチア菌がその炎症の「原因」なのか「結果」なのかは、まだ明確になっていません。
現時点では
ただし、頭皮を清潔に保ち、フケ・かゆみ・過剰な皮脂といった土台の環境を整えておくことは、AGA治療を行ううえでも、それ以外の目的でも、害のない合理的な習慣だと考えています。
医師の視点から見る「コラージュフルフルプラス」という選択

ここまでの内容を踏まえると、
と言えます。
コラージュフルフルプラスは、1999年に日本で初めてフケの原因菌に対する抗真菌成分「ミコナゾール硝酸塩」を配合した薬用シャンプーとして発売されたシリーズの後継品です。ミコナゾールは医療機関でも水虫やカンジダ症の治療に使われる、実績のある抗真菌成分です。
- ① ミコナゾール硝酸塩:フケ・かゆみの原因となるマラセチア菌の増殖を抑える抗真菌成分
- ② オクトピロックス®(ピロクトンオラミン):抗菌・抗酸化作用があるとされる成分
- ③ グリチルリチン酸ジカリウム:頭皮の炎症・かゆみを抑えることを目的とした成分
一点、注意点があります。コラージュフルフルプラスは頭皮のフケ・かゆみ・ニオイを防ぐための医薬部外品であり、水虫や蜂窩織炎そのものを治療する製品ではありません。足の水虫が疑われる場合は、頭皮用のシャンプーではなく、皮膚科での診断・治療をおすすめします。また、症状が長く続く場合や、明らかな炎症・脱毛を伴う場合も自己判断で市販品を使い続けず、皮膚科の受診を検討してください。
なお、シリーズの中の「センシティブシャンプー&コンディショナー」にはミコナゾール硝酸塩が配合されていない点も、選ぶ際に知っておくとよいポイントです。フケ・かゆみ・ニオイ対策を目的とする場合は、ミコナゾール硝酸塩配合タイプを選ぶ必要があります。
よくある質問
- ① 頭皮のニオイ・フケ・かゆみには、マラセチア菌という常在真菌が関わっていると考えられています
- ② 水虫と蜂窩織炎のように、カビが皮膚バリアを壊し細菌感染を招く構図は医学的にも報告されています
- ③ マラセチア菌とAGAの関係は研究途上であり、断定的な効果を期待しすぎないことが大切です
- ④ 抗真菌成分配合のシャンプーは、頭皮環境を整える日常ケアとして理にかなった選択肢です
参考文献
- Roujeau JC, et al. Chronic Dermatomycoses of the Foot as Risk Factors for Acute Bacterial Cellulitis of the Leg: A Case-Control Study. Dermatology. 2004;209(4):301-307.
- Bristow IR, Spruce MC. Fungal foot infection, cellulitis and diabetes: a review. Diabetic Medicine. 2009;26(5):548-551.
- Tinea Pedis. In: StatPearls. NCBI Bookshelf, 2023.
- Borda LJ, Wikramanayake TC. Seborrheic Dermatitis and Dandruff: A Comprehensive Review. Journal of Clinical Investigative Dermatology. 2015;3(2).
- Hay RJ. Malassezia, dandruff and seborrhoeic dermatitis: an overview. Mycoses. 2011;54(Suppl 1):S38-S38.
- Tao Y, et al. Skin microbiome alterations in seborrheic dermatitis and dandruff: A systematic review. Experimental Dermatology. 2021;30(10):1546-1553.
- P226 Malassezia hyphae play possible roles in the pathogenesis of androgenetic alopecia. Medical Mycology. 2022;60(Supplement_1).
- Gupta AK, et al. Scalp Microbiome Alterations in Androgenetic Alopecia: Patterns and Emerging Mechanistic Insights. International Journal of Dermatology. 2026.
- 持田ヘルスケア株式会社「コラージュフルフルプラスシリーズ」製品公式情報(https://hc.mochida.co.jp/brand/furfurplus.html)


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