ニキビはなぜできるの?原因と仕組みを形成外科医がわかりやすく解説

スキンケア・美容医療

洗顔を丁寧にしているのにニキビが繰り返す。市販薬を試しても改善しない。そんな経験はありませんか?

ニキビは「不潔だからできる」わけでも、「意志が弱いから治らない」わけでもありません。皮膚の中で起きている、ある連鎖反応の結果です。

その仕組みを正しく理解すると、「自分には何が必要か」が自然と見えてきます。

POINT
1 どうしてニキビができるの?自分の原因はどれ?
2 アクネ菌は悪い菌じゃないって本当?
3 何から見直せばいい?クリニックでは自由診療も勧められたけど、どうなの?

ニキビができる4つのステップ

ニキビは、次の4つのステップが重なって発生します。

ニキビができる4つのステップ
STEP 1
皮脂が過剰に分泌される
皮膚には「皮脂腺(ひしせん)」という器官があり、肌を守るための油分(皮脂)を分泌しています。思春期や生理前など、ホルモンバランスが変化すると皮脂の分泌量が増えます。
とくにアンドロゲン(男性ホルモンの一種。男女ともに分泌される)の影響を受けやすく、皮脂が増加します。
STEP 2
毛穴が詰まる(コメドができる)
皮脂が増えると同時に、毛穴の出口付近の皮膚が厚くなり(角化異常)、出口が塞がれてしまいます。この状態をコメド(面皰〔めんぽう〕とも呼ばれる、毛穴詰まりの状態)といいます。
白く盛り上がった「白ニキビ」、毛穴が開いて黒く見える「黒ニキビ」は、どちらもこの段階です。まだ炎症はありません。
STEP 3
アクネ菌が増殖する
毛穴の中に皮脂が溜まると、もともと皮膚に存在しているアクネ菌(Cutibacterium acnes:皮膚の常在菌で、通常は無害)が増殖しやすくなります。
アクネ菌は酸素の少ない環境を好む菌です。詰まった毛穴の中はまさに好条件。外からついたばい菌ではなく、「もともといる菌が増えすぎた」状態です。
STEP 4
炎症が起きる ← ここが重要
増殖したアクネ菌に反応して、体の免疫システムが働き始めます。これが炎症です。
毛穴の周囲が赤く腫れた「赤ニキビ(丘疹〔きゅうしん〕)」、白い膿が溜まった「膿疱(のうほう)」、さらに深部まで及ぶと「結節(けっせつ)」「嚢腫(のうしゅ)」へと悪化します。
炎症が深くなるほど、ニキビ跡が残るリスクが高まります。
提供:マルホ株式会社

ニキビができやすい場所と、その理由

ニキビは顔だけでなく、背中・胸・肩にもできます。これらの部位に共通するのは、皮脂腺が多く集まっていること。

部位 皮脂腺の多さ 特徴・注意点
顔(Tゾーン) 非常に多い 皮脂分泌が最も活発。思春期ニキビが出やすい
顔(頬・あご・フェイスライン) 多い 大人ニキビに多い部位。ホルモンの影響を受けやすい
背中・胸 多い 摩擦・蒸れが重なりやすい。衣類の素材も関係する
頭皮 多い シャンプーの洗い残しも一因になることがある

ニキビを悪化させる主な要因

ニキビの根本原因は前述の4ステップですが、日常生活の中でそれを悪化させる要因もあります。

ホルモンバランスの変化 思春期・生理前・妊娠・更年期などはアンドロゲン男性ホルモンの影響で皮脂分泌が増えます。大人になってもニキビが続く方の多くは、このホルモンの関与が考えられます。

スキンケアの誤り 洗いすぎは皮膚のバリア機能を壊し、かえって皮脂分泌を促すことがあります。また、毛穴を塞ぎやすいコスメの使用も一因です。選ぶ際は「ノンコメドジェニック(non-comedogenic:コメドを引き起こしにくいと評価された処方のこと)」の表示を目安にしましょう。ニキビ肌のスキンケア|洗顔・保湿・日焼け止めの正しい選び方を形成外科医が解説

食事・生活習慣 高GI食品(GI:グリセミック指数。血糖値の上がりやすさを示す指標。白米・パン・砂糖の多い食品が該当)が皮脂分泌を促す可能性が研究で示されています。ただし「チョコレートを食べるとニキビができる」のような単純な因果関係は、科学的には証明されていません。

ストレス・睡眠不足 ストレスはコルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種。ストレス応答に関わる)の分泌を増やし、皮脂腺を刺激すると考えられています。睡眠不足も同様です。

摩擦・圧迫 マスク・ヘルメット・スマートフォンが当たる部分など、繰り返し摩擦がかかる箇所はニキビが悪化しやすいです。

📋 コラム|アクネ菌は「悪者」ではない?マイクロバイオームの話

「ニキビはアクネ菌が原因」と聞くと、アクネ菌を「悪い菌」と思いがちです。しかし実際には、アクネ菌(Cutibacterium acnes)は健康な皮膚にも存在する常在菌であり、皮脂を分解して保湿成分のグリセリンをつくるなど、皮膚バリア機能の一端を担う、本来は無害な菌です。

ニキビの原因はアクネ菌の「量」だけではない

皮膚にはアクネ菌をはじめ、約1,000種類の細菌が共存しています(これを皮膚マイクロバイオームと呼びます)。ニキビが出やすい額と、比較的ニキビが少ない頬を比べても、アクネ菌の割合自体はほとんど変わらないという研究があります。

つまりニキビの発症には、アクネ菌の量よりも、皮脂の分泌量・角化異常・菌のタイプ(フィロタイプ)の違い・他の微生物とのバランスといった複数の因子が複雑に絡み合っていることが明らかになってきています。

皮脂量と菌数・赤みの関係

健常女性269名の顔の菌数を調べた研究では、菌数が多い人ほど皮膚の赤みが強く、毛穴が目立つ傾向がありました。また、菌数に最も影響するのは水分量やpHよりも皮脂量・毛穴の数・皮膚の凹凸であることもわかっています。皮脂が多いほど菌の栄養源が増えるためと考えられています。

Dr.オーラより:「アクネ菌を完全に除去すればニキビが治る」という考え方は、現在では正確ではないとされています。大切なのは菌のバランスを保ちながら、皮脂・角化・炎症という根本にアプローチすること。外用薬・スキンケア・生活習慣の見直しが重要である理由のひとつです。
参考:太田聖子. 肌状態とマイクロバイオーム. Bella Pelle, 9(4):32-37, 2024. / O’Neill AM, Gallo RL. Microbiome, 6:177, 2018.

原因がわかったら、どこから見直す?

ニキビの原因は一つではなく、生活・スキンケア・ホルモン・体質などが重なっています。どのルートが最適かは人によって違いますが、大きく4つの方向から考えると整理しやすいです。

医師の観点から申し上げると、まず保険診療(皮膚科)を基本線に置くことをおすすめしています。多くのケースは保険診療の範囲で十分に対応でき、それでも改善しない場合や、ニキビ跡・美容医療に関心がある場合に美容クリニックを検討するのが自然なステップです。

あなたはどこから始める?
1
生活習慣の見直し
食事・睡眠・ストレス・マスクなど、日常の中に心当たりがある方はまずここから。費用ゼロで試せる最初のステップです。
2
スキンケアの見直し
洗顔・保湿・日焼け止めの選び方・使い方を整えるだけで、ニキビの頻度が変わることがあります。市販のBPO(ベンゾイルパーオキシド:アクネ菌に効果的な外用成分)製剤もこのカテゴリに含まれます。
ニキビ肌のスキンケアで詳しく解説します。
3
保険診療(皮膚科・形成外科)
赤ニキビ・膿が繰り返す、セルフケアで改善しない場合は皮膚科受診が基本です。外用薬(BPO・アダパレン〔ADP〕・配合剤)や抗菌薬内服が保険で処方されます。ケミカルピーリングやIPL(Intense Pulsed Light:光治療の一種)を自費で提供している皮膚科もあります。
外用薬 / 内服薬で詳しく解説します。
4
美容クリニック(自費診療)
保険診療で改善しない場合、またはニキビ跡(PIE〔赤み〕・PIH〔黒ずみ〕・凹み瘢痕)が気になる場合、美容医療に関心がある場合に検討します。フラクショナルレーザー・RFマイクロニードル(高周波と微細針を組み合わせた機器治療)は美容クリニックが中心です。イソトレチノイン内服(日本未承認薬。重症ニキビへの有効性が高い)は保険・自費どちらも対応クリニックを要確認で、美容クリニックの方が処方している施設が多い印象です。
ケミカルピーリング・IPLフラクショナルレーザー・RFマイクロニードルダーマペン・サブシジョン経口イソトレチノインで詳しく解説します。

※ どのルートが最適かは、ニキビの重症度・年齢・生活背景・ご本人の希望によって異なります。「まず皮膚科で相談する」が多くの方にとって安心できる第一歩です。

まとめ

この記事のまとめ
1
ニキビは「皮脂過多→コメド形成→アクネ菌増殖→炎症」の4ステップで発生します
2
炎症が深くなるほどニキビ跡になりやすい。赤いニキビは早めに対処することが大切です
3
悪化要因(ホルモン・スキンケア・食事・ストレス・摩擦)を知ることが予防の第一歩です
4
まず保険診療(皮膚科)を基本線に。改善しない場合や跡が気になる場合に美容クリニックを検討するのが自然なステップです

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参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 尋常性痤瘡・酒皶・毛包炎診療ガイドライン2023.
  2. Zaenglein AL, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. J Am Acad Dermatol. 2016;74(5):945-973.e33.
  3. Thiboutot D, et al. New insights into the management of acne: An update from the Global Alliance to Improve Outcomes in Acne Group. J Am Acad Dermatol. 2009;60(5 Suppl):S1-50.
  4. Zouboulis CC, et al. Frontiers in sebaceous gland biology and pathology. Exp Dermatol. 2008;17(6):542-551.

参考ガイドライン:日本皮膚科学会ガイドライン2023・AADガイドライン2016

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